ジグソー学習(反省編)

勤務校でも期末試験が終わり、やっと成績を出すことができた。今学期は中1でジグソー学習をやったんだけど、反省点があったので忘れないようにメモ。

ジグソー学習は、協同学習の代表的な手法のひとつ。複数のグループ(エキスパートグループ)で検討した知識や議論の結果を持ち寄ってまた別のグループ(ジグソーグループ)を作り、そこでお互いに説明しあうことで、知識を統合して問題を解決することを狙う授業法だ。日本では三宅なほみさんを中心としたCoREF(大学発教育支援コンソーシアム推進機構)の普及活動で、けっこう広まってきている。僕も三宅さんの研修ではじめて経験して、それ以降、国語の授業で何度か使っている。こちらのエントリ(▷図書館でのLTD学習)で紹介したLTDほどには大規模ではないので、授業の中でも使いやすい。

 ▷ ジグソー法の仕組み(CoREF) 

このジグソー学習、生徒の視点からすると二つのグループに所属するのだけど、2つ目のジグソーグループで自分が説明役になるので、1つ目のエキスパートグループで真剣に資料を読み、理解しないといけない。この「アウトプットを前提とした強制力」がジグソー学習の魅力で、たしかに生徒はよく読み込む。少なくとも、一斉授業よりは生徒はよほど真剣に資料を読むと思う。

一方で、いくつか課題もあるなと感じる。まず感じるのは、これは「どんな資料を組み合わせるか次第、教材選定がとても大切」な授業だということ。だから、この教材選びを間違えるとやり直しがきかない。理想的には、「それぞれの課題文でも意味があり、(例えば)3つのグループの課題文の理解を持ち寄ると、はじめて議論できる問題が出てくる」のが良いけど、なかなか毎回うまくは教材を用意できないのも事実。単純な文章理解の方法として使う時もある。今回はそんなケースだった。

それから、授業でやる時には「今日はエキスパートグループ、次回の授業でジグソーグループ」という展開になることが多いけど、欠席者が出ると対応が面倒。場合によってはグループを組み直しが必要になる。 

また、ジグソー学習を文章読解の手法として用いた時に、どうしても読み間違いの可能性が生じるのが気になっている。個々のグループで一生懸命読解したけど、それでもやはり誤読するケースだ。ただ、だからといって教師が最後で解説してしまうと、生徒は「最後の解説を聞けばいいや」となって、ジグソー活動自体が成り立たない。このへんの塩梅が難しい。いつもはジグソーグループで説明しあったあとで、各グループで残った疑問点を書いて全体で共有・検討することが多い。しかし今回はそれを経ても、意外と理解できていない期末試験答案が多い印象だった。活動している時には「読めた」と思っていても実はそうではなかったということだろう。この場合、ジグソー学習ではどうやってフォローしたらいいんだろう。

ジグソーは、例えば小論文を書くために素材となる文章を複数読むような場合には最適だけど、文章読解そのものを目標とした授業にはあまり向かないのかも。 国語の先生たち、ジグソー学習をどう使ってますか?

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