最近は授業見学記事が続いたので、久しぶりに自分の授業について。「作家の時間」は、現在ユニット5「視点を変える」の6回目。今回、これまで「共有の時間」にやっていたオーサーズ・トーク(書き手にインタビューをする時間)を大幅に変更してみました。今回はそれについて。
グループ・カンファランスの時間に変更
この「共有の時間」、これまでは運であたった1人の書き手のプロセスをみんなで聞く時間として使っていました。でも今回から、4人グループを作って、そのうち1人の書き手の話を残り3名が聞き、質問や助言をする時間に変えました。つまりは、グループカンファランスですね。別にこれまでのやり方に不満や課題感があったわけではないのですが、それ以上に、グループ・カンファランスがいまのこの子たちに必要なんじゃないか…という思いつきによるものです。
一周回って、またやってみる理由とは
児童生徒が作品を執筆するプロセスの中で、お互いに読みあったり、助言をしあったりするグループ・カンファランス。僕は、このグループ・カンファランスにものすごく熱心に取り組んでいた時期もあれば、意図的にやめてしまった時期もあります。風越に来てからは、授業中にお互い相談し合う事は推奨するけど、そのための特別な一斉の時間を設けたりはしない、というスタンスでした。それは、「書き手の権利10か条」の「読まれない権利」と、制度化されたグループカンファランスが、どうしても相容れない要素があったからです。他の書き手と関わりたくない、読まれたくない人にとって、グループ・カンファランスは強引に開示をせまる機会になりかねませんからね。
しかし、ここに来て、一周回って、再びまたグループ・カンファランスに取り組んでみようと考えたのはなぜなのか。それは、第一に、誰か他の人に向かって自分の執筆プロセスについて語ることが、自分が書き手であることの自覚を高めることの価値に、今年度の「出版記念オーサーズ・トーク」の取り組みを通して改めて気づいたからです。
第二の理由は、「書き手の権利10か条」のうち「信頼できる読み手を得る権利」を大事にしたいと思ったから。いまの子どもたちの実情として、お互いにゆるやかにつながってはいるけど、そのつながれる相手が限られている子もいる。もう少し構成的に関わり合いをつくることで、同じクラスのメンバー同士が、相手の「信頼できる読み手」になることに挑戦したいなと考えたのです。
したがって、このグループ・カンファランスの4人組は、メンバーを変えずに継続して活動します。毎回のグループ・カンファランスだけでなく、作品の出版後も、同じグループ(ライターズ・グループ)としてお互いの作品をまず読み合い、コメントを書き合うことに決めました。そんなふうに一定の時間を共に過ごすことで、相手の関心が生まれ、相手にとって自分が「信頼できる読み手」であろうとする意識も生まれたらいいな。
事前にワークシートに記入する方式に
使える時間は、授業の最後の10分間。そのため、その日の担当の書き手には、いま何を頑張っていて、何を課題だと思っているのか、そしてどんなフィードバックを欲しいのかについて、事前にワークシートに記入してもらっています。
やってみると、良い時間が過ごせているグループもあればそうでないところもあるのが実情かな。メンバーに左右されちゃう面はあるかも。でもこのまま継続して、今学期はもう一度作文教育のグループ・カンファランスにとりくもうかな、と。そして、過去のエントリもあらためて眺めながら、ピア・カンファランスについて復習するつもりです。というわけで、たぶんこれから何回かピア・カンファランスがらみのエントリを書きますが、おつきあいください。
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