添削が効果的に機能する条件(3)

添削について考えるシリーズその3。今日は2つめの条件について考えたい。

(過去記事)

添削が効果的に機能する条件(1)

2014.10.28

添削が効果的に機能する条件(2)

2014.10.29

条件2:事前に丁寧な指導や充分な時間があること

「当たり前では?」と思われそうだけど、添削する人員をしっかり確保できれば、次に大事なのはこの条件ではなかろうか。 この記事

添削が効果的に機能する条件(1)

2014.10.28
でも書いたが、「書いたもの」へのアプローチである添削の欠陥は「生徒が文章を書き上げる」ことが前提になっていること。添削そのものでは書き上げるまでのサポートができない以上、添削以外の方法でそれを補う必要がある。

一番オーソドックスな方法は、書く前に指示を丁寧にしておくことだろう。

・書くべきテーマは何か
・想定する読者は誰か
・どのような形式で書くのか

などを丁寧に説明した上で、できれば過去の生徒の模範作品なども示して、理想とする文章のモデルを生徒と教員間で共有しておく必要がある。文章のモデルが共有できれば、生徒はそのモデルを目指して書けばいいし、教員もそこにどう導くかという点に絞って添削できるので、効率も良くなる。
 

また、課題の内容にもよるけれど、書く前の段階で生徒が一番つまずきやすいのは「アイデアが浮かばない」点。 添削指導ではここもカバーできないので、事前にアイデアを考える時間を充分に(教師の感覚だと多すぎるくらい充分に)与えて、できればその段階で生徒同士の交流を挟む形で、できるだけアイデアを出しやすい状態にすることも必要だろう。

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事前の指導が丁寧でアイデアを考える時間が充分にあれば、生徒は教師に提示された理想像を目指して充分な準備をして作文できるし、その方がポイントが絞れて添削指導もしやすくなる。 逆に言うと、丁寧な事前指導を欠いた添削指導では、生徒は何を目指して書いていいかもわからないので、多種多様な文章が産出される。その結果、添削する側はとても大変な苦労をしょいこんでしまう。

ところで、上で書いたことの見方を変えると、添削の基本的な発想は、「正しい文章の書き方に熟達した教師が、生徒の文章を理想像へと導く」ことだともいえる。そうすると、添削指導に向くジャンルや向かないジャンルもありそう。たとえば、論証の型が決まっている文章などは、目指すべきモデルや添削のポイントが決まりやすいので、添削指導に向く。一方で、創作(小説/詩/短歌/俳句など)は、そもそも「正しい文章の書き方」を共有することができないので、本来的には添削という発想になじまないのだろう。

添削が効果的に機能する条件(4)

2014.10.31

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