いつかやってみたい、インタビュー記事を書く授業

卒業生がちょっとした用事で来校して、ついでに所属しているサークルの様子を話してくれた。自分たちで企画をたて、話を聞きたい社会人にインタビューを行い、文章にまとめて公開したり、あるいは講演会を開いたりするというサークルだ。

楽しそうに語る彼の姿を見ながら、自分たちのやりたい企画をたて、インタビューをして文章にまとめて公開するって、さぞ読み書きの力がつくだろうなと思った。考えてみるとインタビュー活動って、

(1)相手を決めるために、情報収集をしないといけない
(2)インタビューのために、その相手の著書や過去のインタビュー記事を読まないといけない
(3)インタビュー当日に、相手の話をきちんと聞きつつ、適切な質問をしないといけない
(4)インタビュー内容を、一つのストーリーにまとめて書かないといけない

のだから、国語科の「読み・書き・話す・聞く」をフルに動員する活動だ。もちろん教室でやるような「ごっこ」的インタビューでは駄目で、生徒が自分で本当に話を聞きたい人を選び、かつそのインタビュー記事を公開するというアウトプットの機会があることが、フル動員の条件にはなるだろうけど。

自分も少人数選択制の授業でこういうことができたらいいなあという思いがわきあがる。そういえばそれは昔、東大・立花隆ゼミ「調べて書く」の『二十歳のころ』を読んだ時に感じたものだ。


 
 昨年、やはり少人数選択授業で出版学習を企画して、生徒たちが本を一冊作って自費出版するという経験をした。その時に実感したのは、本物の機会を用意した時、人は本気になるということだ。本気になるからこそ、大変な思いをして取材し、書いて、推敲する。そういう経験が、その人の力を伸ばしていく。あれほど真剣に文章の内容について悩み、構成を議論し、一文一文を推敲する生徒たちの姿を、僕はそれまで見たことがなかった。ああいう、エネルギーに満ちあふれた、苦しくて、でも楽しい機会を、また作れたらと思う。

 やってみたいのは、たとえばこんな授業だ。卒業生リストの中から、生徒が自分で話を聞きたい人を選ぶ。可能な限り、下調べをする。そして、実際にインタビューをして、その人の在校生時代のエピソードや当時の学校の雰囲気、その後の進路や人生の経緯について話してもらい、記事にまとめる。記事はもちろん、何らかの形で公開する。

もしそんな機会があったら、自分の将来について考える機会にもなるとともに、自分が今いる学校の過去に思いをめぐらす機会にもなる。それはきっと、楽しくて本気になれる経験に違いない。そういう経験の中で、書く力もきっと伸びていくと思う。

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