[読書]いろいろなジャンルで良い出会いがあった、2023年1月の読書

ブログ更新が遠のいていました。いつも更新する週末に雪山にお出かけしていたのが原因です….。もう1週間たっちゃったけど、月の最初の更新は前月の読書記録。1月は年末年始のおかげで毎年読書冊数が多い月だけど、2023年は合計22冊でした。絵本も山の本もあるので冊数は鵜呑みにできないけど、まあいいペースで読めたんじゃないかな?

目次

サンタクロースの比喩が美しい読書教育の本が今月のベスト

実は1月は、風越学園で保護者向けに読書教育のレクチャーをしたこともあって、読書教育や子どもの言葉の発達をはじめとする本を多くさらった。もちろん再読のものも多いが、その中で初読で一番印象に残ったのが松岡享子『サンタクロースの部屋』。これは、保護者向けレクチャーを一緒に企画した、風越の保育スタッフのおすすめ本。

初版1978年の古い本なんだけど、「ひとたびサンタクロースを住まわせた部屋を持つ者は、サンタが去ったとしても、そこに新しい住人を迎え入れることができる」という比喩の力強さよ。子どもに文字が読めることを急がせず、「読めない」ことを一つの能力として捉える見方や、子どもは本を「わかる」ようには読まないという話は、本当にそうだよなと思う。こういう練達の目利きの言うことは、いったん信じて受け取るのがいい。エビデンスは後からついてくる。この本が今月のベスト。

同じく今月読んだもので高評価だったのは、鳥羽和久『おやときどきこども』。この本については別エントリに詳しく書いたので、そちらを読んでほしい。

[読書]どうしたら目の前の子どもを大人の自分から守れるのか?鳥羽和久『おやときどきこども』

2023.01.28

児童書は「最悪」な出来事が楽しいこのシリーズ

児童書では、レモニー・スニケット『最悪のはじまり』。風越の上級生が下級生に本を紹介する「ようこそ先輩」で、8年生女子が、彼女が5・6年の頃に読んでいた本として紹介した本。「世にも不幸なできごと」シリーズの第1作でもあり、「ハッピーエンドとは無縁の、ひどいことが起きる話」という触れ込みだ。8年女子の紹介が巧みだったこともあり、子どもたちの争奪戦になった一冊で、読んでみるとなるほど楽しい。けっこうひどい大人が出てくるんだけど、ユーモアたっぷり、読後感がカラッと楽しい一冊だ。

もう一冊、甲乙つけ難いのが2023年の最初に読んだシヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』。ロンドンに来た従兄弟と一緒に、ロンドン名物の観覧車ロンドン・アイに行ったところ、先に一人で乗った従兄弟が、観覧車の中で消えていた…というミステリー。人の気持ちを知るのは苦手だけど気象予報の知識は抜群のテッドのキャラクターも魅力だし、成長小説としても読める。地に足のついたミステリーという感じで、個人的には大好き。ヴォーン・ダウドと言えば、あの名作『怪物はささやく』の原案の人ですな。彗星の如くデビューしてあっという間になくなってしまった作家さんだ。

とにかく書くのが好きになるために

作文教育がらみでは、いしかわゆき『書く習慣』が秀逸。著者はウェブ系メディアで物書きをされているライターで、「書くのが好きになる文章マガジン」などを書かれている。とにかく「書くのが好きになる」ことを目標に置いて、ハードルを下げているのが良い。そう、とにかく書くのが好きになって書き続けないと、上手にはならないのだから。世の中にはいろいろな文章の書き方本があるけど、最近の僕はこういうスタンスが好みだ。

絵本は「読む」よりも「遊ぶ」この1冊

4冊読んだ絵本では、エルベ・テュレ(谷川俊太郎・訳)の『まるまるまるのほん』が素晴らしかった。これは、風越の「読み聞かせプロジェクト」で7年生が読んでいたもの。ネタバレは避けるけど、とにかく楽しい、「読む」というより「遊ぶ」絵本。まあ、開いてみてください。

今月の「山」本は、雪山に向けての予習本!

今月の「山」本は、エッセイではなく実用的なこの1冊。石丸哲也『始める!スノーシュー』。1月末に風越学園のアドベンチャー・プログラムの引率で高峰山にスノーシューに行き、ふわふわの雪を沈まずに歩ける楽しさに、ついうっかりスノーシューを購入。そしたらスノーシューの本を読むしかない!

この本はいくつかのスノーシュー本の中でも、おすすめエリア、スノーシュー自体の説明、雪山の準備など、説明のバランスが取れていて好印象。情報量やそのバランスの良さでは、ワンダーフォーゲル編集部の「山登りABC」シリーズ『雪山入門』もよかった。雪山の定義から始まって装備や留意点など、総合的に雪山に入門したい人にはこちらの本がおすすめです。

とまあ、いろいろな本を読めた2023年1月の読書。いろいろなジャンルで良い出会いがあったんじゃないかな。うってかわって今月はまだ一冊しか読めてないけど、まあ焦らず、ぼちぼち読んでいきたいと思います。

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