先日、超遅まきながら、10月の学会シーズンに収集した資料を整理しました。10月中旬のアメリカの国際リテラシー学会で参加した、ローラ・ロブ(Laura Robb)のセミナー。ローラ・ロブは、アメリカで4年生~8年生を40年以上にわたって教えてきたリテラシー・コーチです。僕はまだ彼女の本を読んでないのですが、特にリーディング・ワークショップの指導者として知られているよう。今回、そのローラ・ロブがカンファランスについて書いた資料Ten Tips For Conferenceをまとめてみました。
目次
2つのカンファランス
ローラ・ロブのカンファランスの特徴は、「すぐに済むもの」と「5分かかるもの」の二つに明確に分けていること。すぐに済む方は、Making the Rounds(巡回?)と呼んでいて、要はみんなの間をぐるぐる回りながら、最大でも2~3分で済ますカンファランス。僕を含めて日本でもカンファランス・アプローチに挑戦している人の多くは、これでしょうね。カンファランスの内容は付箋にメモして子どもに備忘録として渡すのだそう。これは僕もよくやってます。
その時に、2〜3分では済まない生徒はメモしておき、そういう生徒には別に「5分カンファランス」を用意します。一日最大5分で、それ以上かかるときはあらかじめ日付とともに複数日のスケジュールを組んでおくのが、ローラのカンファランスの特徴です。その中で少なくとも2つの助言を行い、どんな助言を行ったかは、個別の生徒のフォルダーに記録を残しておくし、生徒が実際に進歩したらその作品も残しておいて保護者面談の際に見せられるようにする、のだそう。
こういう風に二つに分ける意識はぼくにはなかったけど、確かに、すぐに済むものとじっくりと時間をかけて助言をするものってあるなあ…。カンファランスでは、特定の子にかかりきりにならない(全員を満遍なく見る)こともとても大事なので、時間のかかる子はこういう風に別枠にするのも選択肢の一つかもしれません。
カンファランスの10のコツ
ローラは、この資料の中でカンファランスのコツについてもまとめていてくれています。それも以下、参考までに。
①一つのトピックを選ぶ
教えるのは一つの方略に集中すること。例えば、結論を導くこと、文学的な要素をテーマに結びつけること、重要や細部やアイデアを決定すること、文体の特徴をどうやってそのメインアイデアに結びつけるか見せること、などなど。
②足場がけをする
自分のカンファランスのプランを見直して、一つ以上のどんな足場がけをしたらいいかを考える。一つの足場がけだけでは機能しないこともあるので、複数の選択肢があることが大事。
③前向きな姿勢で
子どもがよく出来ていることからカンファランスを始める。最近その子について観察したことや、子どもが文章を分析するのに払った努力など。
④100カウントして待つ
子どもに質問をしたら、100を数えて待つ。教師はつい話したくなるけど、それは生徒のためにはならない。
⑤注意深く聞く
生徒の邪魔をしないように気をつけること。生徒の言葉を注意深く聴きながら、自分の質問を書き留める。カンファランスを通してポジティブなコメントを心がけて、子どもの自信をつけ、話すように励ます。
⑥質問を提示して、前のレッスンを思い出させる
そのカンファランスに関連するミニレッスンを提示したり、考え聞かせをしたりする。特定のレッスンを示す時には、子どもの考えからは離れること。
⑦モデルを示し、考え聞かせをする
自分がどんな風に読みの方略を使っているかを考え聞かせで示す。そうすることで、生徒の記憶をリフレッシュさせて、十分な自信を与える。
⑧目標を設定する
カンファランスの内容を要約して、生徒が1~2週間で達成可能な目標を自分で設定するように誘う。もしうまくできていないときは、2つの目標を提案して、どちらにするかを選ぶ。
⑨目標達成へのプランを立てる
生徒が何をしないといけないかをはっきりさせる手伝いをして、目標を達成するためのプランをはっきりさせる。そしてそれをカンファランスフォームに書かせる。そのコピーを手渡して、ノートに貼り付けてもらう。
⑩ポジティブなコメントで締めくくる
カンファランスの終わりには、何かしら前向きなコメントで、そのカンファランスのトピックについての生徒の理解を深める。「私が気付いたのは…」「私はあなたの…というやり方が好き」などの言葉で始めると良い。
システム化されたカンファランスの流れ
このローラ・ロブのコツ、下記エントリで書いたアトウェルのカンファランスのガイドラインと比べて、重なるところもあるし、違うところもあるようです。
子どもの話をよく聞くとか、教えるところでちゃんと教えようとするところは共通点。ローラ・ロブの方がよりカンファランスの一連の流れがシステム化されていて、カンファランスに初めて取り組んでみようという人には、より意識しやすいかもしれません。正直、僕もこんなにきっちりやったことはないのですが、参考になるなあと思いました。