[読書]「子ども」がキーワードだった2019年1月の読書。特にオススメは3冊。

2月最初の更新は、2019年1月の読書の記録。今月は電車の中にメール処理などの仕事を持ち込むことが多くて、本をあまり読めませんでした…。総数9冊。でも、「子ども」に注目した本に出会えたのが大きな収穫かな。

収穫は「子ども」についての2冊の本

幼少期の言葉の教育の重要性

その2冊の本の1冊目は、下記エントリでも書いたダナ・サスキンド「3000万語の格差」。幼少期の言語環境が子どもの能力の発達にとっていかに重要かを力説している本です。

でも、(詳しくは下記エントリに書いたのですが)決して「早くからたくさん言葉に触れさせよう、本を読ませよう」というような、いわゆる早期教育の本ではありません。ことばの重要性を認識しつつ、いかにその子の発達を見ていくか。そこに、幼少期の(それ以降も共通の?)言語教育の鍵があるのでしょう。訳者による注や解説も丁寧で、一度でも翻訳を経験した身としては、とても共感できる本でもありました。

[読書]3歳までの「言葉がけ」の重要性。ダナ・サスキンド『3000万語の格差』

2019.01.20

こうやって見るのか!子どもの絵

今月のオススメのもう1冊は、「子どもの絵の見方」です。「子どもの視点から絵をみるにはどうすればいいか」に特化した、図工や美術の本です。これは、ちょっと感動的な本でした。

この本を手に取ったのは、もちろん下記エントリの図工の先生(K先生)の授業を見たのがきっかけです。「絵を見るとどう描いたのかプロセスがわかる」というK先生の言葉について、「そういう見方について書いてあるのがこの本ですよ」とある方に教えていただきました。

これぞ職人!ライティング・ワークショップの真髄のような図工の授業を見学してきました

2019.01.26
読んでみると、本当にそういう本でした。なるほど、そうやって子どもの視点で絵を見るのか!と感心することしきり。本当にめっちゃ面白かった。この本については、自分のためにまた別エントリでまとめてみたいと思っています。

言葉と子どもをともに大切にする、素敵な詩の授業

子どもがらみで強力プッシュをもう一冊。今月読んだ詩の本は、中学生で詩・短歌・俳句を教える近藤真先生の実践集でした。

この近藤さん、素晴らしい先生だなあ(現在は校長先生だそうです。もう退職されているかも…?)。ご本人も実作経験がある方らしく、一つ一つの言葉の表現に丁寧にこだわった授業を展開しているのだけど、言葉だけじゃなくて、中学生という多感な時期にある子どもたちの方もしっかり見つめているのが素敵です。子どもなりの表現や、表現をしている子どもたちの姿を丁寧に記述しています。この、「見る」目を持つこと、それを書く言葉を持つことが、教員にも、詩人にも、とても大切なのかな。僕もこんな目を持てるようになるかな、と考えてしまいました。

第二次大戦期が舞台の小説

今月の文学作品のイチオシは、直木賞候補作にもなった深緑野分「ベルリンは晴れているか」。

舞台は第二次世界大戦直後のベルリン。少女アウグステが育ての親クリストフ・ローレンツの死を知りショックを受ける場面から始まる歴史ミステリーです。この舞台設定なので第二次大戦期のドイツの凄惨な場面が多く描かれますが、とりわけ、ヒトラーが権力を握るに連れて、共産主義者やリベラル派から裏切り者が出て、世間がものを言わなくなり、密告によって皆が忠誠を誓う雰囲気ができていく過程が恐ろしい。中でも、ダウン症の姉ギゼラをナチスに進んで密告するズーダー家の弟レオの存在が、小骨のように引っかかりました。同じ時期のポーランドを舞台にした「また、桜の国で」と合わせてどうぞ。

今更古典ビギナー、おくのほそ道

今更古典に入門するシリーズ、角川のビギナーズ・クラシックスから、今月は「おくのほそ道」。国語科教員にあるまじき発言ですが、この年齢で初めて全文通読しました。

本当で今さらでごめんなさい、これ、歳をとってから読むと面白いですね。特に章段と章段でちょっと雰囲気を変えていくのがいかにも俳諧っぽくて妙を感じます。曾良日記の記述と比較したり、芭蕉が踏まえた古典を丁寧に説明したりしてくれる解説も大変親切で、ビギナーにはありがたかった。わからないことも多いと思うけど、ここまで、「堤中納言物語」「万葉集」「方丈記」「竹取物語」そして「おくのほそ道」と、どれも楽しく読めているので、まずは良しとします。

生物の入門書

今月読んだ岩波ジュニア新書からは、伊藤明夫「40億年、いのちの旅」。「いのち」とは何かという定義から始まって、いのちの誕生にまつわる謎を解き、40億年の命をめぐる様々なトピックを紹介する本。個人的には、ヒトも昆虫もそれぞれの環境に適したように脳が働いている、という話を特に面白く読みました。岩波ジュニア新書らしい良質な入門書といえ、高校生にはぴったりだと思います。

というわけで、今月はこの6冊をご紹介しました。うち3冊に「子ども」が関わってましたね。ここ最近はとにかく時間が足りず、ブログ更新も年度末までの2ヶ月は「我慢」の時期かな? 途絶えずに細々と、自分の歩幅で歩いて行きたいと思いますので、よろしくお付き合いのほどを。

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