今月は15冊の本を読みました。量だけが大事ではないと思いつつ、夏休みなのに少なかったな…。原因は、夏休みになってから週1回くらい、某大学の先生と英語の論文を読む勉強会を始めたこと。英文を読むのが遅くって日本語を読む時間がとれなかった。あと、ちょっと油断して文学系が少なかったのも反省点。今回のエントリは、そんな中から選んだ8冊を紹介します。
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抜群に面白いよ!インドの古典「ヒトーパデーシャ」
今月面白かったのは、インドの古典の寓話集「ヒトーパデーシャ」。えらい僧侶が王に招かれてそのドラ息子の王子たちにありがたい処世の教えをといて聞かせるという枠物語なのですが、登場人物のほとんどが動物なのが特徴です。しかも彼らが織りなす物語が、イソップ童話をさらにブラックにした感じ。
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序盤に出てくる話を要約するとこんな感じです。
旅人が虎に出会い、金の腕輪をあげると言われる。警戒する旅人に、虎は、自分は仏教の教えに帰依し、腕輪をあげるのも布施のためだと言い、仏の教えを説く。信頼した旅人は、自分も沐浴しようとして、虎に食われてしまう。教訓、何事も熟慮が必要。
禿鷹と鳥が暮らす樹に猫が来て、仲間に入れてくれと頼む。禿鷹は、猫は鳥の雛を食べるからと断るが、猫は、自分は仏道に帰依して不殺生を尊ぶと教えを説き、仲間になる。そして猫は鳥の雛を食べ、その罪を禿鷹に押し付けて、禿鷹が鳥に殺される。教訓、素性と気質を知らない者に気を許すな。
…こういう「油断したら食われるぞ」や「他人を信頼しちゃいけないよ」的な教訓譚が、七五調に訳された詩を挟みつつ語られていきます。その詩も、
年若き妻、突然に、
老いし良人(おっと)の髪を引き、
力をこめて抱きしめ、
接吻をするわけはなし。
それには理由ありと知れ。
みたいな調子で大変味わい深い。ある教訓があったらそれとは反対の方向性の逸話もあり、枠物語の中にさらに物語が入れ子状に入り乱れ、最初は笑っているうちにいつの間にか引き込まれて、「ヒトーパーデーシャ」をすっかり楽しんでしまいました。楽しい一冊です。
ちなみに、僕がこの本を知ったのは、こちらの本のおかげ。岩波ジュニア、ありがとう!
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濃厚な性と死の文学、中上健次「千年の愉楽」
今月読んだ文学からもう一冊は、中上健次「千年の愉楽」。生徒に勧められたのだけど、これはもう「文学」という感じの濃厚な作品だった…!! 舞台は「路地」と呼ばれる(被差別)部落。オリュウノオバという産婆の視点から、彼女が産湯を使わせた6人の男たちの生(性)と死が語られる短編集。男たちは「中本の一統の血」と呼ばれる「浄らかで澱んだ」淫蕩の血をひいており、女と関わり、そしてそれが運命であるかのようにあっけなく死んでいく。その生涯が、読点の少ない息苦しくもおおらかな独特の文体で語られていきます。250ページもないのに、読み終えるには長い長い時間が流れる小説。言葉のマジックにかかったような感じ。
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赤木和重さんの著作、一押しは「『気になる子!』と言わない保育」
この夏の個人的テーマはインクルーシブ教育について学ぶこと。それで、赤木和重さんの本を(再読含めて)3冊読みました。何と言ってもおすすめは、個別にエントリを立てた「『気になる子!』と言わない保育」。これは素晴らしい本で、自分の生活にも生かしたいし、子育て中の友人知人にも勧めてます。なかなか実践は難しいけど、改めて大推薦。
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「お仕事」系読書からはこちらの2冊を
国語科の仕事に役立ちそうな本としては、2冊をメモしておきます。
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「筆順のはなし」については別エントリを立てました。これは小中学校の先生などには本当におすすめです。詳しくはこちらの記事を読んで、買うべし。
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気軽に読める写真中心のシリーズも
最後に、気軽に読める写真中心の「くらべる」シリーズから。今回読んだ「くらべる値段」は、パッと開いたページに300円のかまぼこと3500円のかまぼこの写真が並べられていて、「うーん、この価格差はいったい…!」と思わず考えてしまった。楽しいのでぜひ手にとって。このシリーズは学校図書館にも入れると良いと思います。
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