[読書]冊数は少なかったけど納得の2018年6月の読書。1位はディスレクシアについてのコミック・エッセイ。

月末恒例の今月読んだ本のシリーズ。15冊読んだ先月の反動か、今月は少なかったです。再読の本やコミックを含めても7冊ですからね…。

[読書]2018年5月は充実の読書月間。「くちなし」と「暴力の人類史(上)」に最高評価!

2018.05.31
まあ、原因はナンシー・アトウェルのIn the Middleの翻訳作業が大詰めを迎えていたから。教育実習と翻訳の校正作業が重なって、ほんと倒れるんじゃないかと思いましたが、無事に6月を終えられて良かったです。では、お薦めの本を。

目次

No.1はディスレクシアについてのコミックエッセイ

今月のトップ評価は千葉リョウコ「うちの子は字が書けない」。ディスレクシアの息子さんとの日々を綴った女性漫画家のコミックエッセイ。ディスレクシアについて学びたいなと思っていたところに、特別支援学級の先生にお薦めされた本。

これ、とても読み応えありました。長男のフユくんのディスレクシアが判明した小学校6年時から、中学校、高校入試、そして高校2年生で進路を考えるまで。彼が直面する様々な困難が描かれています。印象深いのが、フユくんがとても真面目で努力家で、自分の障害にも正面から向き合っているけど、同時に「試験などで特別扱いはされたくない」と最後まで自分からは合理的配慮を求めなかったこと。この辺に、ディスレクシアの子が置かれた厳しさがあるんだと思います。合理的配慮について学ぶためにも、国語の先生に限らず、教育現場にいる全ての方にお薦めです。

ラストシーンで、作者さんが、「生まれてきた時は、元気に大きくなってくれるだけでいいと思っていたのに、だんだん欲張りになっていく」とフユくんとの日々を振り返っている場面は、親として不覚にもホロリときました…。

今月は、この本の後にこちらも読んでます。ディスレクシアの研究者が書いた読書についての本なんだけど、まだ読み終えてないので、感想は来月末に…。

苫野さんの教育哲学。社会の構想から実践まで

今月は、教育の原理に個人的に共感している苫野一徳さんの本を3冊読みました。3冊とも再読ですが、社会構想についての「自由はいかに可能か」、その中での公教育の原理についての「どのような教育が「よい」教育か」、そして現代社会の状況に合わせてその原理をどのように実装するかというところが論点の「教育の力」、と、この順番で再読したのが良かったと思います(話は重なる部分も多いので、まあその辺は読み飛ばしながら)。

再読してみても、僕には前二作が面白かったし、大事なのはそちらの原理だと思います。特に大事なのは、原理を導出する「どのような教育が「よい」教育か」。どんな原理なのかは下記エントリを読んでください。

[読書] 公教育をゼロから考える本。苫野一徳『どのような教育が「よい」教育か』

2016.12.30
普通は、新書ということもあって「教育の力」を先に手に取る方が多いと思います。でも、いきなり「教育の力」を読むと、そこでの様々な実践例に引きずられて、「これらの実践例がなぜ良いのか」が見えにくくなる気もしました。そうすると原理と関係なくここでの実践を「色々な良い実践」として受け止めてしまう危険があるから、まずは前二作、どれか一作なら「どのような教育が「よい」教育か」を読むことをお薦めしたいです。その方が、ステップを踏んで、「なぜこの実践なのか」がわかると思いますよ。

夏井いつきさんの俳句入門は良い!

今月は、他ではすでに読書エントリに書いた小山内秀和「物語世界への没入体験」。これはもう繰り返して書きませんが、非常に興味深い研究。今後の進展に期待したいと思います。

[読書]「物語に読みひたる体験」を理論化する、とても興味深い研究。小山内秀和「物語世界への没入体験」

2018.06.10

他では、先月読んだ下記の本に引き続き、「プレバト!!」俳句コーナーの夏木いつきさんの本を読みました。

今回読んだのは、上の本の前の巻にあたる「超辛口先生の赤ペン俳句教室」。

いやあ、この二作、素晴らしい俳句の超入門書シリーズだと思います。特にこの一作目の方は、俳句の基本ルール説明などを織り交ぜて、俳句を詠むためのテクニックを紹介しているのだけど、何より、作ろう!自分でもできるかも!という気にさせてくれる本。この夏井先生の添削方針が、その人の着想をできるだけ活かそうとするのもいいし、素人としても授業者としても、とても勉強になります。

夏休みに入る来月はもう少し読みましょう

今月を振り返ってみると、『イン・ザ・ミドル』の校正原稿をずーっと読んでたから、仕方ない面もあるけど、もう少し頑張れたかなあという気もする。来月は期末試験が終わったら夏休みに入るし、また10冊くらいは読めるかな。最低でもそのくらいは読もう!

この記事のシェアはこちらからどうぞ!