休校・オンラインの一週間、のんびりカンファランスやってます。

急速に感染拡大している新型コロナウイルスのオミクロン株。ついに勤務先の軽井沢風越学園でも、僕のいる5・6年生が今週いっぱい休校・オンライン学習期間となりました…。授業計画を色々と考えていた身としてはほんと出鼻をくじかれた形だけど、こればっかりは仕方ない。全国の学校の先生方も、同じような苦労をされてる方、いっぱいいるでしょうね…。今日はそんな今週の現在進行形の雑感を書いておきます。

目次

自分の目標を振り返って…

今学期の作家の時間・読書家の時間のテーマは「チェンジ」。今学期は「チェンジ」をキーワードにして、各自で書きたいジャンルや書く内容を決めたり、読書家の時間で挑戦したいことを決めてもらうことに。色々と意味が解釈できるテーマにしたので、本当は授業でミニレッスンをしながら「こんなこともできるよ」「こんな例もあるよ」とデモンストレーションするつもりだった。でも、オンラインでのミニレッスンは訴求力が弱いので、もう一切諦めて、代わりに、この一週間で全員と一回10分の個人面談(カンファランス)をすることにした。

この10分の面談、まだやっている途中だけど、けっこういい時間だなーと思う。最初は、それぞれの子が半年前の国語の面談で立てた目標を一緒にふりかえりながら、今はどう感じているかを聞く。その目標がしっくりこない子には、今やってみたいことを話してもらう。目標をたてて頑張ることも大事だけど、目標はたてたけど頑張れないことや、変化した今の気持ちに素直になることも大事。目標通りに律儀に頑張れる子は真面目な少数派だから、目標をたてることも、たてたけど変えちゃうことも、どちらも大事にできたらいいと思う。「目標通りにできてないけど、もうちょっとやってみたいな」という子、「この目標はやめて、次はこんなことをやってみたい」という子、様々だ。色々な声を聞きながら、長期休み明けの国語の授業をこういう面談から始めるの、コロナ関係なくやってみてもいいかも…と思った。

みんな、物語を書くのが好き。

目標の話をした後は、今のテーマ「チェンジ」でやってみたいことを聞く。読書家の時間では、ノンフィクションに挑戦したい子がいたり、友達のおすすめを読むようにしたいと言う子がいたり、毎日15分でも読もうかな、という子がいたり、文字が小さくてルビも少ない本を読んでみたい子がいたり…。得意不得意に応じて凸凹はあるけれど、それぞれの挑戦を話してくれた。

「チェンジ」って作家の時間でも色々なジャンルで書けるテーマなんだけど、実際には多くの子が物語を書くことを選ぶ。もしも無事に登校できていたら、物語以外の色々な事例を紹介して誘うつもりだったので、幅の広がりがなくなって残念な気持ちもあるけど、とにかくみんな、物語を書くのが好き。「昨晩ずっと考えたんだけど思いつかなくて、今日やっとアイディアがおりてきた!」という子もいれば、もう書いたのを僕に見せにきてくれる子もいる。こういう姿は、例えば書くジャンルを「意見文」に指定したら、なかなか見られない光景だ。

書きたい気持ち優先でいい?

僕は今年、この学年に意見文の書き方などを教えていない。一時は三学期に意見文を書こうかとも思ったけど、最近は下記エントリで書いたとおり、ジャンルという形の制約に懐疑的なので、迷った末にやめてしまった。

作文教育における「自由を生み出す制約」とはなにか?

2021.12.11

そもそも学習指導要領上は、小学校5・6年生は「事象を説明したり、意見を述べたりする文章」(説明文・意見文)「短歌」「俳句」「事実や経験をもとに考えたことや感じたことを書く文章」(エッセイ)を書くことが想定されている。だから、物語ばかり書くのは明らかにバランスが悪い。でも、「早くから色々なジャンルをバランスよく経験する」ことで、書く力が本当に身につくのだろうか。例えば意見文は、書き手の中で社会に向けて意見を言いたい気持ちや社会性が育ってないところで書いても、ただの「ごっこ遊び」になってしまう。それでは本当の力がつくはずもない。

前提として、力がつくには、その子が書きたい気持ちを持って書くことが必要だ。そして、多くの子の書きたいものが物語なのであれば、それはそれで良いのではないか。風越の子は日頃からたくさん物語を読んでいるので、モデルもたくさんある。おのずと、やってみたいことのイメージも持ちやすい。そうやって好きなジャンルで書くことで「書きたい気持ち」を育てていく。それが書くことでいちばん大事な「力」なんじゃないか。

だったら、ジャンルにはこだわらなくてもいいのかなあ….? 意見文や説明文には明確なフォーマットがあるから、それはもっと上の学年で学ぶ必要が出てきたときに学べば、十分に間に合う気もする。それに、子どもたちが、このまま物語を書き続ければ、いずれはレトリックや人称、時間の流れの操作など、意見文よりもよほど複雑な文章の書き方を学ぶ道も開けている。そのくらいの力があれば意見文なんてすぐに書けるようになるのでは….。

でも、まずは健康第一で…

…などと都合の良いことを考えながら、でも一方では迷いながら、今週は一人10分のオンライン面談を続けている。そんな中で、『かがみの孤城』ブッククラブや『精霊の守り人』ブッククラブが立ち上がったり、前期の子に絵本の読み聞かせに行きたいグループが生まれたりもする。ゆったりした時間だからこそ生まれるものもあるなあ。でも、子どもと個別につながりを持てるのは教師のエゴとしては嬉しいけど、子どもが本当につながりたい相手は教師じゃないからね、それは忘れないようにしないと、だな。

ちなみに、いま風越の高学年、特に女子の間では辻村深月が人気です。『かがみの孤城』ブッククラブも5人に1人が参加する勢い …。

そんな休校・オンライン週間。今週は一人ひとりと話す時間と位置づけたのでこれでいいけど、来週はまた別のやり方も必要そうだ。まあ、最終的には生きてればなんとかなるので、声高に「学びを止めない!」とか言うつもりもない。しばらくは続きそうな手探りの時間、まずは健康第一で、なんとかやっていきましょう。

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2 件のコメント

  • オンラインのrw、非常に難しい…
    グループワークもやってみるけど、班によってまちまちですね。
    私もゆったりカンファレンスやってます。生徒は嬉しそう。フィードバックでも話せたことが楽しかった!とのこと。

    • ゆったり話せるのはいいですね。でも、時間予約制なのですが、予約した時間に子どもが来てくれないことが多くって…(苦笑)