昨秋11月、僕の筑駒時代からの研究パートナーである勝田光先生(東洋大学)が僕の授業を見学に来てくれました。この度、その時の見学記が風越のウェブサイトにアップされたので、こちらでも紹介します。
目次
勝田先生の記事はこちら
まず、勝田先生の訪問記事はこちらです。
あすこまを追跡して
勝田さんの記事を読んでの自分の感想
勝田さんがこの記事の中で指摘した僕の筑駒時代からの変化って、以下の2点。
- 他のスタッフと協働している
- リーディング・ワークショップやライティング・ワークショップで「教える」意識が強くなっている。
協働は…苦手だなあと思ってます(汗)
このうち、「他のスタッフとの協働」に関しては、ここに来て下手だなあとの自覚を深めているので、ちょっと自分の認識とは違っているところでした。
根っこにあるのは、僕の性格の問題だなあ。基本的にはコミュニケーションを取るのに積極的ではないので、授業も誰かと一緒にではなく一人で作る方がやりやすい。この場合の「一人で」って必ずしも孤独ではないし、自分にとってマイナスな印象でもない。同時代の同じ場所の、似たような人たちで話してる時って、えてして誰かの思いつきとかその場のノリとかで方向が決まっちゃう。僕はそういう時に勢いで進まずに「待てよ」「でも」と流れをストップさせて落ち着いて考えたい人。ゆっくり吟味したいので、ミーティングよりも、そのテーマに関する先行研究や専門家が書いた本を読んだ方が、よほど多様で、たしかな知識に基づいた良い材料に出会えて、自分のペースでじっくりと考えられて、手応えを持って一歩一歩前に進んでいける。…根っこがそんなキャラなので、文献や論文じゃなくて目の前の誰かと一緒に授業を作るのがうまくない。これ、どうしたもんなんでしょうね。まあ、変えたいと思って変えられるわけではないし、これまで自分はそうやって成長してきたので、仕方ないかなと思っているのだけど。
たしかに「教える」意識は強まっているかも。
一方、もう一つの指摘、筑駒時代よりもライティング/リーディング・ワークショップで「教える」意識が強まっている件については、その通りだと思う。理由はいくつかある。
第一に、以前は教科書を使った授業もやっていたので「教えるのはそちらで、リーディング・ワークショップでは楽しく」と割り切っていられた。今は全員が教科書で学ぶことが少ないので、ワークショップの中で読み書きの力をつける意識が強まっているのだ。
第二に、記事の中でも答えていたけど、人数の影響も大きい。一学年160名いた前の環境だと、一人一人をちゃんと見るのは正直難しかった。そこでは諦めていたことが、今は40名ちょいの人数なので、できてしまう。どの子にも「この子の力を伸ばすにはどうすればいいのかな」と考えながら接することができている。
風越には、学力的にはいろんなレベルの子がいるし、学校は社会から孤立したユートピアではない。だから、国語の授業担当としては、学校で探究を進める基盤となる言葉の力はもちろん、ペーパー学力でも最低限必要な力はつけさせてあげたい。「受験をゴールにしない」って、受験を無視するのではなく通過点にするということだからね。風越の高学年の子たちが学んでいる実感や力をつけている実感を持てるように、日頃の授業を大事にしたい。
問題は、その思いが強くなりすぎると、つい生徒の選択や自由を制限しがちなこと。そうではなくて、子どもが自分で学習を組み立て、自分の力で成長する実感を持てるようにしないといけない。そのために、読書猿さんの『独学大全』を参考にしつつ、彼らの独学を支援できるようにできたらと思う。
勝田先生、ありがとうございました
とまあ、勝田先生のレポートを読んで思ったことをまとめてみました。研究者の勝田先生が3年間も自分の授業を見てくださるのは本当にありがたいこと。こうやって自分自身について振り返るきっかけにもなる。コロナで当面は難しくなってしまったけれど、ぜひまたおいでください。次回の自分の授業はどうなっているかな。お待ちしております!