[読書]丁寧にステップを踏んだ詩作の手引き。石毛拓郎『詩をつくろう』

この春は下記エントリにもあるように「詩の書き方」本をそれなりに読んできたわけですが、ここにきて「これはいい!」と膝を打つ本に出会ってしまいました。それが石毛拓郎『詩をつくろう』。もう中古本しかないようだけど、在庫があるうちにすぐに買うと良いですよ。特に小学校の先生にはおすすめです。

詩を書く授業の難しさと意義について。参考になるブックリストつき。

2020.05.06

「詩の作り方」本としての本書の特徴は、とにかく丁寧なステップを踏んでいること。一つ一つ紹介しておこう。

詩は言葉の組み合わせで生まれる

第1章の「詩とであう」では、「詩ってなんだろう? どういう時に詩は生まれるのだろう?」という問題を扱う。ここで、言葉の組み合わせによって詩ができる、という「言葉のティンカリング」の視点を強調しているのがいい。筆者は、自分で見たもの感じたことをそのまま言葉に書き表しても、詩は生まれてこない、とする。次のような表現は、

  • 詩が生まれてくるときは、作者の中で、ことばの組み合わせの火花が、パチパチはねているというわけだね。(p12)
  • ふだんのことばづかいから少しはなれて、別のことばづかいをすることで、新しいことばのはたらきを見つけるーーそれが詩をうみだす原動力になるわけなんだ。(p13)
  • 詩は、<ダンス>や<おどり>みたいなもの。短いことばの中に、いろんなものをつめこんで、いっきょに表現してしまう。作文や日記は、どちらかというと、<散歩>や<遠足>にたとえていいでしょう。(p26)

まずは、型を使って詩を作る

次の第2章「これなら詩がつくれる」では、いきなり何もないところから詩を書くのではなく、様々な「型はめ詩」を紹介する。一行詩、アクロスティック、連想とリフレイン、なぞなぞ詩など、様々なパターンの型を経験して、言葉の制約の助けを借りて詩を書くことをからスタートするのだ。小学校では、ここにある「型はめ」のパターンをそのまま使って詩の授業ができるだろう。

自分の心の動きに気づき、読者の心を動かす

そして、そのステップを踏まえて、いよいよ自由な詩作に移るのが、第3章「人マネでない詩をつくろう」。ここでは「型はめ詩」で気楽に詩を作るのとは異なり、まず自分に向き合い、ポエジー(何かに出会った時の自分の心の動き)をつかむこと、そしてそれを、読み手の心を動かす言葉にいていくことが推奨される。ただの説明的な作文と違い、言葉をグッと引き締めて、読者の想像や空想を引き出すための工夫を、実際の小学生の詩をもとに語ってくれる。

これだけある、詩を発表する方法

そして、最後の第4章「詩を楽しく味わおう」では、様々な詩の発表形態を教えてくれる。複数人で手軽に作れる「詩の新聞」をはじめ、個人詩集、詩のビデオ、詩に曲をつける、共同の詩作、ポエトリー・リーディング(詩の朗読会)….などなど、色々なバリエーションがあって参考になる。これだけの発表方法から子どもが自分で選べるといいだろうなあ。

著者は詩人の石毛拓郎さん

とまあ、すごく丁寧で、めっちゃ参考になった。さ・え・ら書房の詩の古本というと、大木実『詩を作ろう』もとても良い本だったけど、こちらの『詩をつくろう』は実作に振り切ってこれまた良い本。著者の石毛拓郎さん、僕は存じ上げなかったのだけど、小学校の先生で、詩集『笑いと身体』で小熊秀雄賞を取られている方だった。1946年生まれなので今は学校現場を退職されているが、どのような詩作の授業をされていたのかなあ。この方に詩の創作を教わった子どもたちは幸せだなあ、そんなことを思った一冊でした。

 

この記事のシェアはこちらからどうぞ!