[資料紹介]リーディングスキルテストをめぐる議論@全国大学国語教育学会

2019年10月26・27日の全国大学国語教育学会仙台大会2日目、ラウンドテーブルとして「国語科教育における『読解力』を問い直す:リーディングスキルテストをめぐる議論を中心に」が開かれました。その議論が、横浜国立大学の石田喜美先生のブログで公開されていますので、ご紹介します。

 

リーディングスキルテストをめぐる動き

リーディングスキルテスト(以下RST)とは、新井紀子氏の著書「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で有名になった、(新井氏曰く)「基礎読解力」を測るテストです。

このテストは上記の著書を通じて話題にもなりましたし、自治体でこのテストが行われたり、文科省の大滝一登調査官が「高校新学習指導要領に一定の影響を与えた」と述べるなど、一定の影響力を持っています。

一方で、「教科書が読めない」という言葉で衆目を惹きつけたのに、テストで使われた例文が実際の教科書の文章とかなり異なっていることや、そもそもそこで測られている「読解力」が、これまで国語科教育研究や海外も含めたリーディング研究で扱われてきた「読解力」と違うのではないかということに対して、批判の声や慎重な声も上がっていました。

そういう中で、僕の知る限りでは初めて、国語科教育の文脈で、RSTをめぐる議論が学会の場でなされたわけです。しかも、RSTの開発に関わった研究者も登壇して、ということに価値があります。

RSTをめぐるラウンドテーブルの記録が読めます

僕は、同時間に開催されていた、論理的文章を読むことをめぐる公開講座に出席していました。そのため議論の内容がわからず、残念な思いでいたのですが、横浜国立大学の石田喜美先生が、ラウンドテーブルの内容をブログにまとめてくださいました。

全国大学国語教育学会ラウンドテーブル「国語科教育における『読解力』を問い直す:リーディングスキルテストをめぐる議論を中心に」

というわけで、上記リンク先の議論をぜひご覧ください!

ちなみに、僕自身は、荷方先生が指摘されているように、文章の理解は、純粋に統語的でもなく、意味的でもないため、統語的な能力のみを測っても現実の文章読解の場面とかけ離れてしまう(文章読解のベースは語彙や背景知識によるところが大きい)と考えていますので、RSTで測られる「何かの能力」が、読解力の一部ではあっても、その基礎となるとは考えていません。しかし、上記のリンク先の議論を読む限り、単にRSTを賛否の立場で問うというようなものにとどまらず、RSTも含めた読解力を測る各種テストの位置関係や、従来の国語教育で何が見落とされがちなのかということにも議論が広がり、生産的な場になっていたように感じられました。この議論に興味のある方は、ぜひご覧ください。

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