アクティブ・ラーニングの学習評価って難しいなあ…と思う。勉強会で目にした「アクティブ・ラーニングの自己評価シート」というものに、ちょっとげんなりしてしまった、という短いお話。以前に読んだ石井英真さんの本でも触れられていた、コンピテンシー・ベースのカリキュラムの「影」をあらためて目の当たりにした気分である。
アクティブ・ラーニングの自己評価シート
このシート、「主体力」「協働力」「創造力」「自己決定力」「問題解決力」「自己成長力」という6つの分類の合計18の観点から、4段階評価で、生徒が「自分が学校での学習に主体的・協働的に取り組んでいるかを振り返るもの」である。例えば「主体力」には「目標」「積極性」「実行」、「協働力」には「対話」「協力」「練り上げ」など、それぞれ3つずつの下位項目が設定されている。
これ、息苦しいなあ…
正直に言って「息苦しいなあ…」と思う。コンピテンシー・ベースのカリキュラムには、「教科のテストの点」だけではないプロセスへの関心や全人的教育への志向がある。そしてそれが、子どもの「学び」を狭い教科の枠から開放する視点をあたえるのも確かだろう。でも、ここまで(日本語としても)よくわからない「○○力」で自己評価することを迫られるのって、本当に息苦しいんじゃないだろうか。自分のふるまいが常に「評価」という眼差しで査定され、自分自身もそのように自己を見ることを求められる教室。
そもそも、こういう「○○力」を個人の能力とみなして良いのか、そこにはどのような問題があるのか、という批判もあって、僕はどちらかというとこういう批判論の立場に共感的だ。
自己評価をすることは悪くない、けれど…
自己評価をすること自体は悪くない。けれど、どうしてこうなっちゃうんだろう。僕には、こんなふうに自分の行動のすべてを評価の眼差しにさらされるくらいなら、「テストの点数しか見ないよ、でもそれはあくまでテストの点であってあなたの人格評価とは何の関係もないよ」というほうがはるかにマシだ、という気分がある。
もちろん、問題は単純な二項対立ではない。「テストの点数しか見ない」ことの問題点だってたくさんあるのだから。また、自己評価をすることの大切さというのはたしかにあるのだから。ともするとこういう「自己評価シート」に陥ってしまう危険性を意識しつつ、そのなかでどうやって自己評価を促していくか、ということなのだろうか。うーん。難しいなあ…。