無事にDissertationを提出! 点が線になった一年。

ついに修士論文相当のDissertationを提出しました!おまけに今日の夜は他の日本人の方との飲み会もあって、いよいよ帰国の実感が強まっている。今日のエントリは帰国直前の雑感。

目次

無事にDissertationを提出!

帰国前になって、ようやくDissertationを提出した。僕のいるエクセター大学のMSc Educational Researchは、4年制博士コースの1年目でもあり、博士論文のプロポーザルを15000字書いたものがDissertationになる。他に、実際に調査をして修士論文を書くという選択肢もあったのだけど、博士課程進学希望者は、必ずこのプロポーザルを書かないといけない。迷いもあったのだけど、将来またエクセター大学で学ぶ選択肢を確保する意味で、最終的にはプロポーザルを選んだ。実際には、子供たちを抱えた身で今の仕事に加えて博士課程に進むのは難しいと思うけど、でも、あきらめずにいたいなと思って。

この一年、勉強はそれなりに頑張れたと思う。教育研究の基礎的な方法について、作文教育研究について、そして対話研究について、ある程度の知識を身につけることができた。あと、受講科目で全て「優(Distinction)」を取れたのも、やっぱり頑張った証で嬉しかった。少なくとも書くことについては少し自信になった。

来て良かった、エクセター大学

それにしても、エクセター大学を留学先に選んで本当に良かった。自分がこれまでの教員生活の中でやってきたことが繋がって、「点が線になる」のを実感した一年だった。これって現職を経験してからまた大学院で学ぶ人の強みかなあとも思うけど、今回は「自分の経験に基づいた問題意識について大学院で学ぶこと」がうまくできた実感がある。

もともとエクセター大学にはライティングの研究チームがあって、それが目的でこの大学を選んだのだけど、やっぱり実際に論文を書いて研究を進めている先生たちの授業を受け、個別に指導をしていただけたのは、とてもありがたいことだった。また、この大学には対話の研究チームもあり、そこにはなんと日本人の先生もいて、その先生に事実上「二人目の指導教官」になっていただいたのもありがたかった。その先生と月に2回、対話研究の論文を一緒に読んだ時は、ふだん自分の思考を縛っている英語の矯正器具が外れて自由に思考できる感じで、「母語で議論できるってなんていいんだろう」って実感したし、その先生がなさっている最新の研究についても深く学び、議論することができた。本当に感謝しかない。

また、エクセター大学とは関係ないけど、この春にナンシー・アトウェルの学校に訪問できた経験も大きい。彼女のような偉大な先生の取り組みを見られた。そこでどんなことが起きているのか、もっともっと見てみたい、という気持ちも生じた。

「作文×対話」という自分の軸

僕は、もともとライティング・ワークショップでも生徒同士のグループカンファランスを重視していたのだけど、その「作文×対話」という自分の専門性の軸が、今回の留学ではっきりしたと思う。僕はおそらく、自分の能力的にも関心的にも「国語科の領域を満遍なくカバーする立派な国語の先生」にはなれない。でも代わりに「作文 × 対話」では、先端の話題にキャッチアップしていきたい。僕は教員としては色々と欠点もあるので、「専門は作文教育です」と名乗るには、それくらいのことはしないといけないだろう。

そして、そういう先端の話題を知り、あわよくば議論に参加したかったら、やっぱり英語は不可欠だ。もうこれは良し悪しの話ではなく、現実的な問題として、日本語だけだと、得られる情報に差がありすぎる。日本は、作文教育の実践は素晴らしい積み上げがあるけど、研究はそうではないかもしれないという気もする。まずは、英語を道具としてもっと普通に使えるようになりたい。それが最低限の条件で、それができないとそもそも勝負できないのだということも感じた一年だった。英語については帰国しても引き続き頑張るつもり。まあ、ライティング・ワークショップに出会った8年前より進歩してるのは確実なので、あと8年間頑張れば、もう少しはマシになるでしょう。

「点が線になる」ことを信じて

今後、僕には博士課程に進みたい気持ちもあるし、家庭も大事にしたい。今後の人生は限られているし、正直なところ、考えていることも、迷っていることもある。でもとにかく、人生は楽しんだ者勝ち。きっと、ライティング・ワークショップに出会ったことが8年後にエクセターに連れてきてくれたのと同じく、今回のこの留学経験が、僕をまたどこか面白い場所に連れて行ってくれると思う。多分、今回の「点」が、また数年後か数十年後に振り返った時に、一本の線に見えてくるんじゃないかな。そんなことを無根拠に期待しながら、日本に帰ろうと思います。

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