初参加!日本国語教育学会・西日本集会

学会のふりかえり記事が続きます。6月12日(土)は日本国語教育学会の西日本集会(鳴門大会)でした。「西日本集会」の存在自体も実はこの機会に知ったのだけど、全国大会がいつも東京(筑波大附属小)だから、その代わりに毎年西日本でもあるのかな? それはともかく、会場の鳴門教育大学に行くのも初めてなら、香川県や徳島県に行くのも初めての日帰り学会でした。

写真を見ても、南国ムードあるよね、鳴門教育大学…

全国大学と日国の違いを感じる

長野に移ったこともあって、日本国語教育学会自体に行ったのも実は3年ぶり。今回は5月末の全国大学国語教育学会から期間が短かったこともあって、2つの学会の性格の違いをより感じる機会になった。一言で言うと、全国大学は研究者中心、日国は実践者中心。僕が親しみを感じるのは後者なのだけど、こういう違いがあるので、日国の発表は「研究発表」ではなくて「実践発表」で、「こんなことをやりましたけど、どう?(「どや!」だったりするのもある)」というものが多い。中には、「Aをしたから、Aする力がつきました」(例:コミュニケーションしたからコミュニケーション力がつきました)式の、論理的には「ほんまかよ」みたいな報告もあるのだけど、個人的にはそこにはあまり突っ込まない。

というのも、実践者にとってここでの発表は「晴れの場」的な位置づけを持つからだ。僕も以前そうだった。だとしたら、その実践者が「よし、次もがんばろう」と思ってもらうのが発表のゴールで、逆に最悪なのが「これならやるんじゃなかった」という結果だ。全国大学が「発表者とフロアの共同で議論を積み上げる場」なのだとしたら、日国は「発表した実践者の背中を押す場」。こういう区分けがいいのかどうかは別として、そういうスタンスでいくつかの質問をした。

激ムズな指定討論

実践発表分科会では中井悠加先生(僕の指導教員でもある)と住田勝先生が「指定討論者」となっている。20分の発表に対して、10分間のフロアからの質疑応答のあと、最後に一人10分ずつ話をすることのだ。この「指定討論」、激ムズだなーと思う。国語教育の研究者とはいえ、(1)自分の専門ど真ん中でもないことについて、(2)フロアで出てくる質疑の流れを意識して、(3)10分というまとまった分量で話さないといけない。ある程度事前に用意できるのだろうけど、用意していた内容がフロアからの質問ですでに取り上げられちゃったりしたらどうなるんだろう…。自分だったら何を言うんだろうとちょっと考えてみたけど、お手上げだった。こういうのが気になってくるのも、自分が大学に移った影響だろうか。まあ、当分こんな役が回ってこないことを祈る。

大村はまの国語教室の「成長」とは

この日の午後は、全体で集まっての講演やシンポジウム。甲斐雄一郎先生の講演「大村はま国語教室の成長」は面白かったな。ここではそれについてだけ書く。この講演は、大村はま教室の教室が、昭和20年代から40年代にかけてどのような変遷をたどったのかについてのお話で、20年代は授業記録を読むと友達への批判が散見されるのに、40年代は満足度が高まっているのだという。その変化は何によってもたらされたのか、というのが中核の問いにある講演だった。

ここであまり詳しくは書きすぎないけど、その変化を一言で言えば「制約が増えていった」のである。書く題目や題材、誰と一緒に学ぶか、そしてなんのために学ぶのか…こうしたことの制約を、大村はまはひとつずつ増やしていく。それが、教室の充実につながっていったというのである。

これは、現代の教育の潮流が、おおむね子どもに課される制約を減らすことで活性化させようとしている点を考えると、とても示唆的だ。もちろん制約と自由の関係は単純ではなくて、ある程度の制約があるからこそかえって自由に感じられるのが通例だ。そして、問題はその「ある程度」がどの程度なのかという点である。

断っておくと僕は大村はまの熱心な信奉者ではない。「国語教室」を一応は読んだし、空前絶後の巨人として敬意も払っているつもりだが、この講演で語られたような大村の「制約」の厳しさに、ある種の息苦しさを感じることもあるからだ。大村はまの単元学習に比べたら、ライティング・ワークショップはとても自由度が高い。書きたいことを、書きたい場所で、書きたいように書く。これでは大村からは「力のつかない」実践と言われそうだ。それはまあ、大村はま実践と比べたらそうなんだろうなと思う。けれど、僕から大村はま実践を見ると、彼女の授業設計の根底には、「教師である自分が責任を持って生徒のことばの力を伸ばす」という、下手をすると支配欲と紙一重な思想を感じることがある。

もっとも、それはあくまで本の記述から受ける印象で、実際の教室では大村はいつもニコニコ笑っていたというから、自分が子どもだったとしても気にはならないかもしれないが、どうだったんだろう。もしタイムマシンで好きな時代に行けるのだとしたら、学習者として大村はま教室に参加してみたいな。力がつく実感は得られるのだろうし、こんなこと言って大好きまでありえる。

楽しい四国日帰りでした

この日は、朝一番にとりあえず香川県でさぬきうどん屋に入ったり、お昼休みに鳴門教育大学の野地潤家文庫と大村はま文庫に聖地巡礼のような気持ちで行ったり、帰りも講演をひとつスキップして本屋ルヌガンガに行ったりと、かなり満喫した。全体の集まりでも、お隣りの方が僕の本を読んでくださっていて、ありがたくおしゃべりできた。日帰り往復はきつかったけど、楽しい四国遠征でした。

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