この週末は全国大学国語教育学会(茨城大会)の2日目に参加しました。午前中の課題研究発表に、文科省の大滝先生、島根大学の冨安先生と登壇しました。
目次
まずは反省の弁から…
うーん、率直に言ってかみ合いませんでした。会場でそう思っていた方も多かったのではと思います、ごめんなさい。本当は、3人で一つのストーリーの登場人物にならないといけないのに、ストーリーを作れませんでしたね。やっぱりシンポジウムって難しいなあ。その難しさは事前にわかって臨んだつもりなのですが、力不足でした。正直言って、ちょっと敗北感あります…。気を取り直して今後に向けてのメモ。
エビデンスとの付き合い方
今回の登壇者で教育行政の立場を代表されたのが、高校新学習指導要領の策定に関わった大滝一登さん。現場の国語の先生からは色々と批判や疑問の声もある今回の改訂ですが、僕も事前にこの著作を読んでから臨みました。
もちろん、教育政策が個人の思いつきではなく、一定の質を担保するために研究の知見に基づいて行われる、そのこと自体は大事でしょう。ただ、どんな研究が信頼できるエビデンスとして政策に影響を与えるのか、そこには慎重な検討が必要ですし、誰がどんな基準で判断するかという点も難しい問題だろうなと思います。
とはいえ、「エビデンスに基づく教育政策」に対する僕の理解は、留学中に書いた下記エントリで止まっています。
勉強になりました。プロセスジャンルアプローチ
島根大学の冨安先生は、プレジを使った発表がかっこ良かったのもさることながら、作文指導におけるジャンルアプローチとプロセスアプローチの統合という理論のお話が勉強になりました。
ジャンルを固定的に捉えてその特徴を教えるジャンル・アプローチと、すべてのライティング・プロセスに存在する普遍的な認知活動を教えるプロセス・アプローチの統合を目指す「プロセスジャンルアプローチ」についてのお話です。
冨安先生の説明をうかがう限り、プロセスジャンルアプローチの特徴は、ジャンルの特徴を分析する過程を経てから書くことによって、分析する力をつけること。とすると、まずモデルを分析して、ジャンルの特徴を考えるところからライティングを始めるナンシー・アトウェルの「ジャンル学習」は、「プロセスジャンルアプローチ」の実践として理解して良さそう。アトウェルの実践を説明する言葉をいただきました。ありがとうございます。
国語の勉強、頑張ろう…
というわけで、若干気落ち気味の午前中を終えて、午後はいくつか気になる分科会や公開講座をつまみ食い的に見て回りました。本当は、ふらふら歩いていないで、しっかり発表を聞いて勉強して成果に繋げないといけないんですよね。でも、東京を離れてから、なかなか国語教育関係の知人に会えなくなってしまったので、会えたことだけで嬉しかった。年に1回はちゃんと学会発表している人、公開講座でレクチャーしている人、ラウンドテーブルの運営をしている人…みんな、それぞれの現場で頑張っていて、「ああ、自分も頑張らないとなあ」と思えました。
頑張っている国語科の仲間を見ると、正直なところ、ちょっと、焦りもありますね。長野に来てから、自分の勉強ができていない自覚があります。軽井沢風越学園は教育という点ではとても面白いチャレンジなのだけど、教科のプロフェッショナルに囲まれていた前職と比べると、国語科教員としての研鑽をどうやって詰むのかが大きな課題。車通勤になって読書時間もなくなってしまったし。
でも、学会に来て元気をもらえました。国語教育の勉強仲間に置いていかれないように、「勉強しなきゃあかん!」っていう気になれたのが、今回の学会参加の最大の収穫だな。加えて、今回初めてご挨拶できた方、今後の関係に繋がりそうな方など、新しい出会いもありました。人に会うことで、勉強しようっていう元気が出て来た。その気になっただけで終わらせないように、毎日時間を作って頑張ろうよ、自分。