ライティング・ワークショップ研修。再確認した「安心できる場づくり」の大切さ。

全国大学国語教育学会に出た6月第1週に引き続き、珍しく2週連続で週末は新幹線。神奈川県の青少年センターが主催する教員向け研修の講師をしてきました。ライティング・ワークショップ研修です。やってみて、いくつか自分でも勉強になったことがあったので忘れないようにメモ。

「書き手」の一言に「なるほどな…」

ライティング・ワークショップに限らず、作文教育で一番大事なのは教師も書くこと。この原則を体験してもらうために、僕は研修の場でも参加者の皆さんに文章を書いていただいています。その中でのやり取りで、参加者の方が漏らす一言一言に、なるほどなと思うことがいくつもありました。例えば、僕がカンファランスをして回るときに、「書きながらカンファランスを待っているといつ来るのかと気になる」という一言。書いた作品を共有するときに、「いくら良い点の指摘をもらえると思っても緊張する」という一言。きっと生徒もこうなんだろうなあ…。書き手の不安をどう軽減するのか。大切なテーマです。また、参加者の方には書く時間に外に出て行かれた方や、作品を共有しない方もいらっしゃいました。その時々で、皆さんはどうお感じになっていたのだろう。そう感じながら、研修の間、一人一人とお話しさせてもらいました。

質の高い授業づくりと安心の場づくり

研修後の質疑応答で、印象的だったこともありました。「共有しない権利」をどう扱うのか、質の高いピア・フィードバックをするのは難しくないか…。それに答えているうちに気がついたのは、書き手の不安も、それらの質問も、結局のところ「安心できる場をどう作るのか」という問題に帰着するということです。安心できる場があってこそ伸び伸びと書け、共有する/しないと選べて、お互いのことを考えてフィードバックできる。教科教育の視点だと場づくり・集団づくりへの意識や取り組みはつい後回しになってしまうのですが、安心できる場づくりと質の高い授業づくりは一体なのだなと改めて思わされました。

この問題は、これからの僕の課題でしょう。普通の中高だとなかなか場づくりまで意識が回りませんが、小学校と一体の軽井沢風越学園では、アプローチしやすいはず。今後の課題をもらった気持ちで長野県に帰ってきました。

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