風越学園も7月最終週から夏休み期間に入りました。学校説明会も昨日で終わり、来週からの二週間は、本格的な夏休みムードかな? かく言う僕は、実は先週末に広島大学で自分の「作家の時間」実践をまとめて話す機会をいただき、ついでに瀬戸内にある妻の実家を訪ねたりと、一足先の夏休みモードでした。実は7月、家庭でいろいろあった時期、このブログの更新も2回だけと低調だったけど、時間の余裕のなさだけではなく、気持ち的にも「それどころじゃなかった」月でした。でも、家庭の問題も方向性が定まり、8月にも入ったので、これからまたペースを取り戻したいと思います。
さて、今日は一学期のふりかえり第一弾。以前の保護者コミュニケーションのエントリ(下記参照)でちょっとでてきた「イレブンラジオ」でのスタッフインタビューのこと。定期的に同僚にインタビューするの、いいよーというお話です。
風越での週末ラジオ番組
実は、今年の56年ラーニンググループ(担任団)では、保護者へのチャンネルのひとつとして、「ラジオを配信する」選択肢があるんですね。これはもともと、2023年度に同僚のニシム(西村隆彦さん)の発案で始めたこと。保護者への情報共有の手段として、金曜日の終わりに一週間の様子を配信するといいんじゃないか、という提案でやってみたんだけど、これがそんなに負担感も大きくないし、スタッフの振り返りとしてもとても良い。iPhoneで録音してPodcastアプリで配信するだけの簡単ラジオのわりに、保護者にも、文字よりもスタッフ同士のやりとりふくめて雰囲気が伝わってくると好評。それで、2023年度は「56ラジオ」、2024年度は「華金ラジオ」、そして今年度は「イレブンラジオ」と名前を変えながら定番化してきました。
楽しいよ、同僚へのインタビュー
そのラジオ番組で、今年度、通常の金曜のラジオ配信とは別に、「あすこまのスタッフインタビュー」を放送しています。56年ラーニンググループを中心に風越学園の同僚にインタビューをして流すだけのもの。これが、自画自賛なんだけどけっこういいんですよ。
もともと週1のラジオでは学校の雰囲気は伝えられるけど、風越スタッフがいま試行錯誤していることとか、大事にしたいこととかを伝える十分な時間はない。とすると、保護者としては授業に対してどうしても「表面的な情報」、より正確に言えば「一部の表面的な情報の切り取り」だけで判断せざるをえないところがあります。たとえば悪くすると、「この授業はちょっとさわがしいらしいぞ」という噂話で不安になっちゃうこともあるかもしれない。
でも本当は、一回の表面的なできごとだけで授業の良し悪しなんてわかるはずないわけです。そのスタッフがこれまでどんな歩みをしていて、何を大事にしていて…みたいな根っこの部分を理解した上で授業を見ないと、実践についてあれこれ言うことはできない。それを知っている僕としては、そういう「背景」の部分を、保護者にも可能な範囲で共有したいなと思ったのがラジオをはじめたきっかけでした。
具体的なモデルとしては、やはり風越学園の同僚だったあっきー(木村彰宏さん)が、Voicyで「きっかけラジオ」という教育関係者との対談中心のラジオ番組を配信していることもありました。あの番組を聴きながら、「こんなふうに同僚に話を聴いてみたいな」と思っていたわけです。
コミュニケーションの手段として
ラジオを続けているもう一つの大きな理由が、このラジオ自体が、僕が同僚と会話をする強力なツールになっていることです。何度も書いているけど、もともと僕は対人コミュニケーションが得意じゃなくて、雑談ができないタイプ。多くの人は飲み会とか雑談の場を使って相互理解を深めていくのだろうけど、それが苦手な僕は、それよりも「仕事」をはさむほうが圧倒的に会話がしやすいんですね。「保護者向けのラジオ番組で流したいので、お願いします」というのは、絶好の仕事の口実。去年は「授業記録を書く」ことを通してやっていたコミュニケーション(下記エントリ参照)を、今年はラジオ番組という体裁でやっているわけです。
その人の来歴、いま感じていること、実践の悩み…
この一学期は、3ヶ月で合計12回のインタビューをしました。週1回ペースだから、われながらがんばってる! でも、負担感はあまりなくて、「仕事を口実に同僚とやりとりできてうれしいな」くらいの感じ。その理由は何より、話を聞くのが面白いからですね。そのスタッフの前職、風越に来るきっかけ、いま風越で感じていること、実践で悩んでいること、これからこうしたいなと思っていること…なんとなくの流れはあるんだけど、でも、その都度その都度、純粋に聞いてみたいことを聞いている感じです。
みなさんこちらの質問にまっすぐ答えてくださるので、本当に面白い。「こういうキャリアを積んできたから、こういうふうに考えているのか」とわかることもあるし、若手スタッフで授業に悩んでいる方の話は「自分も通ってきた道だから、わかるなあ」ももちろんある。凄腕スタッフの過去の失敗談を聞いて、「この人にもそんな時代があったんだ」と安心することも。本当は毎回20分くらいの予定なんだけど、話が収まらなくて30分、40分になってしまうこともしばしばあります。なかには、一度インタビューをした同僚が、「あの話についてあのあと思いついたことがあるんですよ、いいですか?」とインタビューを申し込んでくれたこともあって、うれしかったな。
そういうインタビューを繰り返しながら、同僚との関係を築いている今年度。保護者への情報発信にもなるけど、聞いている自分の勉強にもなるし、ほかの同僚も聞いてくれているので、チームでの相互理解を促進することにもなっていると思いたい。何よりも聴き手としての自分が楽しんでいるので、これは一年間続けたいなあと思っている実践です。シンプルで楽しいので、もしよかったらやってみてください。