ずいぶんひさしぶりの更新になりました。広島県に転居し、福山平成大学に着任して初めての前期を終え、成績も出し終えて、今日からようやくの夏休みモード。日本国語教育学会(2日目)と日本読書学会に参加すべく、新幹線で東京に向かう車内でこれを書いています。
新天地最初の4ヶ月、充実してました。
4月から新しい環境に身を置いての4ヶ月、まずは順調な滑り出しというか、充実した日々だった。ふりかえって心からありがたかったのは、着任初年度ということで、分掌の仕事が今年はかなり軽く設定されていること。同僚も親切な方ばかりで、いろいろと気にかけてくれるし、質問には答えてくれるし、サポートしてくれる。おかげで、特に大きな困難を感じることなく、4ヶ月間を終えるた。前期の授業準備や学生さんとのやりとりに、けっこう時間を使うことができたな。
大学の名前で調べてもらえればわかるけど、勤務先は、財務省が「4割削減」をとなえる私立大学、しかも地方の小規模私立大学だ。偏差値も高くない。少人数教育での面倒見の良さを売りにする大学でもあって、自分が卒業した30年前の大学と比べると「大学の先生がそんなこともやるの?」と思われそうな仕事もたくさんある。
学生さんとの距離の近さがいいな
けれど幸いなことに、今のところ僕はそれを前向きにやれている。なかでも、学科全体で60名、小学校教員の志望者は20名ほどなこともあって、学生さんとの距離が近い。一人一人名前を覚えて、顔を見ながら授業ができている。国語系の授業では毎回全員とノートでコメントのやりとりをして、感想を聞いたり、質問に答えたりしている。ライティング・ワークショップのカンファランスもそうだけど、こういうのは僕に合っているな。
はじめての大学の国語科教育法の授業は、まずは僕の授業を体験的に受けてもらってそこから指導要領なども参照しつつ国語の授業について考える形式にした。この形式も、評価の方法や授業のやり方も、僕がまず原案を提案して、学生さんからフィードバックを得て、つくるプロセスに学生さんをまきこみながらやってきた。そうやって人間関係ができてきた6月くらいから7月にかけて、ほぼ毎日のように学生さんが研究室に来てくれて話を聞く時期もあって、そのおかげで、彼らの意識や課題も自分なりに見えてきつつある。
風越での経験に助けられています
この4ヶ月、たびたび感じていたのは、自分が、いまの同僚だけでなく、去年までの軽井沢風越学園での経験に助けられているということ。そもそも、仮に自分が日本屈指の進学校である筑駒からすぐにいまの勤務先に来たら、学力のギャップに驚き、学生さんたちにネガティブな評価をしていたかもしれない。すぐに相手をジャッジせず、まずは受け止めて、相手の行動の背景を想像して…という姿勢が、以前よりも自分の中にあるのは、風越での経験のおかげだ。
そして、自分の授業づくりのスタンスは、風越の元校長・ゴリさん(岩瀬直樹さん、現・真鶴町教育長)や風越の元同僚の影響を強く受けているし、研究室に来てくれた学生さんの話を1対1で聞く時の姿勢も、風越学園でいろんな子どもたちの話をまっすぐ聞いていた同僚たちに教えてもらったものだ。とりわけ、この2年間、2022年度に一緒に一緒にラーニング・グループスタッフとなったあっきー(木村彰宏さん・現MIMIGURI)の依頼を受けて、彼の書くコーチングと教育についての本に深く関わったのも大きい。学生さんの話を聞くときの基本的な方針が、風越での経験と、あっきーの本によってだいぶできてきた気がする。
本当に僕は、あの学校で、理念も、行動のありようも、葛藤の中でいろんなことを学ばせてもらったと思う。もちろん僕は僕で、僕なりの経験の幅や長所や短所があり、すぐに変われるわけではないけど、去って改めて、風越の存在が自分にとって大きかったことを実感している。ほんと、感謝しかない。
自分にできること、がんばります
学生さんたちは基本的に公立小学校教諭や幼稚園教諭、保育士をめざす人たちだ。公立勤務経験がなく、しかも筑駒と風越という「とがった」自由な学校でばかり働いてきた僕には、できることもあれば、できないことも率直にある。ただ、幸いなことに、同僚には公立小学校や教育委員会出身の方も複数いる。皆さん良い方なので、お互いのキャリアの違いと同じを面白がり、尊重しあいながら、自分のポジションから学生さんたちに成長の機会を提供できたらと思う(この「違いと同じを面白がる」も風越の同僚に教わった人生の教えだ)。
このご時世だ。地方私立大学の置かれている立場の厳しさも、もちろん感じている。だけど、今の自分にできることは、自分の裁量で学生さんの成長をサポートして、職場に貢献するとともに、教員養成を通して、地域の教育を支えること。そういう目標も実感として持てるようになったので、素直に頑張っていきたい。地域の高校の先生方、もし小学校志望の学生さんがいたら、ぜひ福山平成大学へ(笑)少人数教育で、何回も模擬授業ができるなど手厚いサポートがあるし、特に国語科教育系に関しては、僕ができるだけ頑張ります。
研究ができていないけど…バランスとる!
そんな新天地での悩みは、目下のところ研究できていないこと。もともと「研究大学」というより教育中心の大学なのだろうし、僕の場合は勤務時間のほぼ全てを授業準備や面談を含めた教育活動に使っているので、平日の週1回の広島大学での研究指導の日以外は、研究に使える時間がない。あとは休日なのだけど、やはり自分は根が研究者よりも学校教員なのか、時間があると授業準備をしてしまう。
とはいえ、広島大学大学院に入学した以上、自分のやりたい研究をやって博士号も取得したいし、現実的に勤務先での評価も研究活動がベースでなされるので、今のままでいいはずもない。
そんなもやもやを抱えていたところに、つい先日、朗報が! ラッキーなことに、4月に応募した科研費の研究活動スタート支援が採択されたのだ。おかげで研究用機材を買い揃え、「こんなことできたらなあ」と思っていた研究が実行に移せそう。教育の比重が重い大学だけに、研究との両立が大変そうなのは事実。でも、もっと忙しい同僚もそこにチャレンジしている中で、まだ学務負担が少ない自分が泣き言を言ってはいられない。この夏からは、研究活動も頑張りたい。あとは健康維持や家庭生活も含めたバランスをどうとるかがテーマだな、と思う。そんなわけであれやこれや、充実した夏をすごして、後期も頑張ろう!



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