少しずつはじめてます、言葉の学び。

オンラインでの学校が、というより在宅での学習や生活の支援が本格的に始まりました。いやー、本当に試行錯誤。全国で同じように頑張ってる先生たちがいて、でもその先で掬いきれずにこぼれ落ちてしまうものがきっとたくさんあるんだろうなあ…と感じてる日々。他の学校、どうしてるんだろ。今日は学校開始後の雑記。

目次

ホーム&ライブラリーの日々

今の僕は、zoomを通じてホーム(≒クラス)に「副担任」的なポジションで関わりつつ、校舎にも出勤してライブラリーの仕事もする立場。双方を行き来するので、どっちかに専念できないもどかしさも、どちらでも十分に力になれてない申し訳なさもある。でも、僕は本が好きなので、この働き方も全然嫌いじゃない。

今はライブラリーと仲良くなる時期

思えば、前任校もとびきり素敵な司書さん2人が来てくれて、そこから図書館が変わっていった。図書館は、そこにいる人たちが、本と一緒に作るもの。それを僕に教えてくれた2人だった。風越のスタッフになった今は、自分が風越のライブラリーのことをよく知って、仲良くなる時期が必要なのだ。それには、たくさんの時間と、図書館の中を歩き回り、本を手に取る経験が必要。本の貸し出し・返却処理、返却された本のコーティング、書架整理…今の僕には、その時間や経験がたくさんある。本を選んだり返したり、書架の前でずっと作業したりするこの時間は、いずれ子供たちが風越に来た時に絶対に生きるはず。もちろん、いま家で過ごす時間が多い子どもや保護者に向けて本を届け、休館中の公立図書館に代わってその読書生活を支えるのにも、大きな意義を感じる。

それに、やっぱり単純に本がたくさんある場所に身を置くのは気持ちがいいもの。本棚の間をカートを押しながら歩くと、それだけで気持ちが安らぐ。返却本を返す時に目に入ったとなりの本のタイトルにわくわくする。安らぎとわくわくがある。もしかしてアウトドア派の人は、僕が図書館にいるのと同じ気分を、森を歩く時に感じているのかなあ…と想像したりもする。

「読書家の技」始めました

とは言いつつも、自分が一番元気なのは、やっぱり国語の授業中。今週から、所属のホームで20分程度の「読書家の技」の時間をはじめた。ミニレッスンだけのリーディング・ワークショップとは言えない時間だけど、好きな本をお互い紹介したり、本と仲良くする方法を説明したり、読書記録の付け方を紹介&説明したり…。自己満足と言われようが、国語の授業をしていると心が弾む。この機会に、子どもたちに自分の読書生活を作って欲しい。1日30分の読書時間を生活の中に取り入れようよ。カンファランスもしたい。早く読者としての子どもたちのことを知りたい…つい、色々な気持ちが先走るのを抑えるようにして、少しずつ、ミニレッスンをしている。

「今日の詩」も読んでます

並行して、ホームで1日に1つ「今日の詩」を読みはじめた。これは、1日一つの詩を読み聞かせするだけの時間。誕生日の子に詩をプレゼントするのと同じく、風越でやろうと思っていたことで、(自分で言うのもなんだけど)僕だからできることの一つだと思う。

今日までのチョイスは長田弘「世界は一冊の本」、まど・みちお「さくらの はなびら」、高階杞一「水ぬるむ」、草野心平「春のうた」、谷川俊太郎「春に」。単に季節に合わせた良い詩を選ぶだけなら簡単なんだけど、ホームの子は小3〜中1までと年齢差・理解力の差もあるので、どんな詩がいいのかなあ…と楽しく迷いながら選んでいる。今はまだ、選ぶ時に「この詩はあの子のために読もう」と顔を思い浮かべられてない。だからこの時間が子どもたちにとってどうなのかまではわからないし、まして全員には届いてない。まあ、正直、この時間を一番楽しんでいるのは、好きな詩を読んでる僕だと思う。

でも、良いものを浴びることは大事だし、力になる。そう信じて読んでいる。中には、読んだ詩に反応してくれる子もいて、それがとっても嬉しい。それは時に、僕自身に感謝や褒め言葉を言われるよりも嬉しいのだ。人とダイレクトに繋がるのが苦手な僕には、詩を介したり、本を介したりして繋がるのが、一番いい距離感なんだなあ、と思う。

ホームでは、zoomの最中に生じる空き時間に、言葉遊びも仕掛けている。「「たね」から出発して「つぼみ」を経て最後は「はな」になるしりとりを作ろう」みたいな簡単な言葉遊びだけど、こういう遊びを通して言葉への感覚を楽しく磨いていけたらいいなあ。

オンライン・ブッククラブも

風越では、ホームを超えた4つの有志グループで始まった「オンライン・ブッククラブ」も実施中。ファシリテーターのうまっち・ぽん・たいち・さんだーが、子供達と一緒に作ってるブッククラブにちょっとずつ参加させてもらえるのは、とても楽しい時間だ。今日が最終回だったあるブッククラブで、ある女の子が「自分の見方と他の子の見方が同じだったり、違ったりするのが楽しい」と言ってくれて、ちょっとじーんとしてしまった。同じ本を読んで語らうには、ある程度読みの力が揃う必要があるから、ブッククラブは異年齢ホームを超えた、同レベルのメンバーで組むのがいいんだろうなあ。他にも、実践のためのちょっとした工夫は色々とあるけど、オンラインでもブッククラブはできそう。それは、単純に、中心に優れた本の魅力があるからだ。

言葉の学びの核になるのは本

そんな感じで、今は色々と試行錯誤中。どれも、胸を張って「こんなことやってます!」と言えるほどのことでもない、小さなこと。でも、学校再開と、万が一再開されない可能性も見据えて、せっせと種を蒔いている。

この前、図書館スタッフが、「ライブラリーは風越の心臓」だと言っていた。本当にその通りで、言葉の学びの核になるのは本なのだ。どうやって子どもに本を届け、子どもと本をつなげ、言葉への感度を高めていくか。その道筋さえ見失わなければなんとかなるし、ウェブを駆使した学習よりは家庭の負担も抑えられるはず。やってて感じる課題も色々あるけど、より広く、より深く。自分のホームだけでなく、それぞれのホームのペースを大事にしながら、進んでいきたいな。

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