まだまだ選定中…ブッククラブ用の読書から、おすすめの本を紹介。

ここのところブログを放置中ですが、主な理由は前エントリで書いたように、ブッククラブ用に購入する本の選定のためにひたすら読書しているから。児童書が中心だし再読もあるとはいえ、数えたらこの2月だけで50冊読んでた。頑張ってるよ…!

ただいま選定中....ブッククラブにあうのはどんな本?

2020.02.15

というわけでブログを書く暇もないので、今回は読んで面白かった本を紹介してお茶を濁すエントリです(笑)

とにかくこれは勧めたい!

前エントリでもブッククラブの本の基準について考えていたけど、ただ、「出会ってほしい本」も確実にあって、例えば前エントリでもあげたナタリー・バビット「時をさまようタック」は、掛け値なしの名作なのでその筆頭級。

オープニングの描写も、全体の構成も、テーマも、どれも素晴らしい。KAIさんによると、ブッククラブでもとても盛り上がるそうです。うちの子にも読んでほしいな。

国語の勉強仲間にも同僚にも勧められたのが、伊藤遊『鬼の橋』。子どもの頃の小野篁が主人公という児童書では異色の歴史ファンタジーだけど、物語で登場する鬼と少女の信頼関係がとにかく美しい、素晴らしい本だった。葛藤もあるし、これもブッククラブ向きだろうなあ。

ノンフィクションのイチオシは、マイク・トムソン『戦場の秘密図書館』。シリア国内のアサド政権に包囲されたダラヤで、市民がどのように秘密図書館を作り、守り、そしてダラヤ陥落とともになくなっていったのかを綴った本。シリアの内戦のその後をニュースで聞くと、胸が締め付けられる思いがします…。

図書館つながりで、こちらはフィクションだけどリサ・クライン・ランサム『希望の図書館』も素敵だった。母親の死によって、アラバマから父親とともにシカゴにやってきた「ぼく」が、南部の黒人として差別される一方で、シカゴ公共図書館でラングストン・ヒューズの詩集に出会い、心の平安を得ていく話。ラングストン・ヒューズの詩によって、僕と父と死んだ母が結ばれていく、とても美しい結末が印象的です。読んでよかった…!

ブッククラブ向きの?作家たち

読んだ中には、幅広い年代層を相手に書いてて、色々な世代のブッククラブで使えそうな作家さんもいました。

日本人だと、中学入試の定番である重松清はもちろんだけど、森絵都はすごい。個人的に一番好きなのは人間関係の変化を描いた中編3編を収めた『アーモンド入りチョコレートのワルツ』だけど、『にんきもの』シリーズや『流れ星におねがい』のように、低学年からでも読める作品を書いてくる。で、『カラフル』のようなテーマ性のある軽いタッチの小説も、『DIVE!!』のようなスポーツエンタメも書けてしまうのがすごいところ。特に『カラフル』は小学生が食いつくという話を四方八方から聞きます。

名前だけ先にあげた重松清は、『くちぶえ番長』なら小学生でも無理なく読めますね。楽しい、元気の出るストーリーの中に重松らしい心情表現もあって、最初の重松清に。

『小学五年生』は、タイトルとは裏腹に、これをすっと楽しめる小学五年生はかなり国語の力がある子なんだろうなあ。色々な意味での「境界線」にいる小学五年生の子どもの繊細な感情の揺れが描かれていて、質は超一級。一昔前の中学入試でよく見ていましたね。

個人的には、この『小学五年生』と個人的な重松のベストを争う『きみの友だち』は、中学生と一緒に読んでみたいなあ。

海外の作家だと、個人的なおすすめは以前にも『月にハミング』を紹介したイギリスのマイケル・モーパーゴ。口蹄疫で愛する羊を失ってしまう少女のお話『忘れないよ、リトル・ジョッシュ』や、風景描写が美しい回想録『よみがえれ、白いライオン』は小学校3年生くらいから読めてしまうし、戦争を背景にした喪失と回復の物語『月にハミング』や、やはり戦争に赴く兵士の兄弟を描く『兵士ピースフル』は大人の鑑賞にも堪える作品。

ブッククラブよりも個人読書向き?な名作かも…。

一方で、改めて読んでみて、ブッククラブには向かないかな?と思った名作もありました。例えば、ご存知、斉藤洋『ルドルフとイッパイアッテナ』は、とても面白いけど、勢いのまま「面白いねえ!」で終わらせた方が良い名作という気もします。斉藤さんのは、歴史ファンタジーの『白狐魔記』シリーズもちょっと似た印象がある。楽しいので、個人読書には超オススメできますが。

他では、個人的にすごく好きなんだけど展開が地味なので、ブッククラブに向くかどうかわからないのが、椰月美智子『しずかな日々』。小学5年生の頃を回想した小説で、その回想の淡々とした語り口が魅力。大きな事件が起きるわけではないので、あまり盛り上がらないかな?とは思うものの、自分の選書ではなかなか出会わないこういう本にこそ、ブッククラブのような「課題本」で出会ってほしいという気持ちもある。迷うなあ。作品はめっちゃ素晴らしいだけに。僕は語り口がとても好きな作品です。

こんな風にブッククラブの候補本を集めては読んでいる日々です。色々と考えて選んで入るけど、でも何が実際に良いのかは、やはり子どもに聞いてみるしかないなあとも思います。どんどん手に取ってもらって、リストを更新していってほしい!

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