最近、ICTを通じた個別学習、いわゆるアダプティブ・ラーニングのサービスをちらほら見かけるようになった。どんなものか興味津々。さっそく小6娘に試してもらうことにしたので、その感想をここにまとめてみよう。今回無料体験したのはQubena Wizという算数・数学の基礎的な力をつけるサービス。ちなみに娘の小学校のクラスでは、現在『学び合い』で算数を勉強しているので、それとの比較となった。
目次
Qubena Wiz
長所は「とにかく速い」こと
今回試したのは一週間の無料トライアル。この期間、毎日(無制限)でiPadアプリを用いた個別学習ができ、2回の対面レッスンが受講できる。娘にはサーティワンアイスのトリプルと引き換えに、この個別学習の中学1年の数学のところを毎日やってもらった。さて、感想は…
まず、やってみての印象は?
うーん。どうと言われても。速くは進むけど、勉強だしあまり楽しくはないかな。
いま学校でやってる『学び合い』と比べてどう?どっちの授業を受けたい?
『学び合い』でも「Qubena」でもどっちでも良い。一長一短ある。
と言うと?
「Qubena」は圧倒的に速い。でも、あまり理解してなくても問題を解くだけなら進めちゃう。友達と説明しあったりして深く理解できるのは『学び合い』。でも、一問一問の時間はかかる。普通の算数の授業は、その中間で、先生が時間を区切るので速さはそこそこで、理解度もそこそこっていう感じ。
短所は「説明が一通り」
Qubenaの悪いところは?
説明が一通りしかないから、それでわからない子が先に進めないかもしれない。『学び合い』だと友達に気軽に聞けるし色々な説明に触れることができるから、一つでわからなくても他の説明でわかる。こんな考えがあるんだと知ることができる。Qubenaにはそれがない。
Qubenaを授業で使うとしたら?
とにかく速く進めたいならよい。でも、算数が苦手な子にとってはどうかはわからない。先生や先輩が見回って手助けするとか、そういうのがあればいいのかも。
言われているほど「個別的」ではない?
娘の話をまとめると、彼女が感じた長所は「とにかく学習進度が速い」こと。これはウェブサイトでも強調されているが、少なくともある程度自分でできる子にとっては本当のようだ。一方の短所は「一通りの説明しかないこと」「ちゃんと理解していなくてもなんとなく進めてしまうこと」「楽しいとはいえないこと」らしい。もっとも、「楽しくない」のは、今回体験したのが基礎的な範囲で、もともと知的好奇心をそそるというよりはドリル学習的な部分なので、まあ仕方ないだろう。
個人的に面白い発見だったのは、アダプティブ・ラーニングって個別学習の文脈で語られるけど、(少なくとも現状では)説明が一通りしかないという点では、あまり個別的とは言えないんだなということ。用意されている説明でわかる生徒ならいいけど、それがわからないと、一人で困ってしまうことになる。
その点、『学び合い』のほうが個別学習的だというのは納得がいく。個人的には、モチベーションの維持や様々な説明のバリエーションを用意するという観点でも、「教室に人がいること」の意味ってやはりあるんだなあと思う結果となった。こういうサービスは、それ単体ではなく、対面学習との併用が現実的にも必要なんだろうな。学習速度という点での魅力はとても感じるので、期待しすぎないようにうまく使っていけたらと思う。