高校生の読書に関する意識等調査

文部科学省のウェブサイトで、「高校生の読書に関する意識等調査」の報告書が公開されている(調査は文科省の委託で(株)浜銀総合研究所が行った)。125ページに亘るPDFファイルなのだけど、面白いので読書教育の関係者の方におすすめ。

 ▷ 子ども読書の情報館(文科省) 

125ページもあるので、自分の関心に沿って超ざっくりまとめると、概要はこんな感じ。

・高校生の6割以上は読書が好き。
・しかし、高校生の半数以上は一ヶ月に1冊も本を読んでいない。
・本を読まない二大理由は「読書習慣がなく関心がない」「部活動等、他の活動に時間がとられている」の二つ。
・他にも、要因としては「学校図書館整備状況」「家庭環境」が考えられる。
・対策としては、学校や教室内での読書時間を設けることや、読書習慣がない生徒に対してはテレビや漫画と関連した本をPRするなど、まず興味を持たせるような環境を整えることが提言されている。

個人的には、読書意欲はあるけれどあまり読めていない生徒に読書量を増やす方策を尋ねたところ、「強制的に読む時間を作って欲しい」という希望が多かった点が面白い。自分の勤務校は、少なくとも小学校時代は読書していた子も多いけど、高校生になるとあまり本を読まないので、やはり読む時間を授業内で取り入れるのが一番効果的なのかな。

ただ、学校で強制的に読ませる時には、何を目的とするのかが大事になる、と提言では述べている。

ただし、「ただ単に本を読む時間を設定すればよい」というわけではないという点には留意が必要 である。例えば、本調査の結果、一斉読書の取組は、「学校図書館等を活用できるようになる」ということとは関連性が弱いのではないかということも把握されている(図表 2-4-13)。また、高校生自身は、読書の効果について「楽しむ」ことや「気分転換になる」ことを挙げることが多いことが明らかになっているが(図表 1-12-1、図表 3-2-4)、学校・教室内で本を読む時間を設けることで、これら本を読む楽しみ等に少しでも多く触れさせることを目的とするのか、別のことを目的とするのか 等、生徒に本を読んでもらう(読ませる)ことに、どのような意味を持たせるのかという点もあわせて考えることが重要である。


授業時間を使う以上、これは当然というのが僕の立場。もし楽しみや気分転換のためだけに読むなら、他の娯楽と比べて読書だけを特権視する理由がない(本だけでなくDVDでもゲームでも認めるべき)。だから、わざわざ読書を特権的に扱うのであれば、そこにはなんらかの「そうする理由」がないといけない。僕がやる場合にも、高校生の場合だと、新書限定で自由読書の時間を作るとか、各自でテーマを決めてもらってそれに沿って複数冊を読んでもらうとか、そういう形である程度の制限を設けるつもりだ。アトウェルのリーディング・ワークショップも、大量のチョイスがあるとはいえアトウェル自身も選書する学校の本の中から読む本を選ばせているので、生徒は完全に自由に本を読んでいるわけではない。

他にも、この調査では、生徒から見た時の保護者の読書習慣と生徒自身の読書習慣についても述べていて、なかなか興味深いトピックがいっぱい。興味のある人はぜひどうぞ。

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