この本つながりの読書。歌人の山田航さんの、たぶん第一歌集、なのかな?
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ちょっと意外だった。上の本の印象だと、山田さんってちょっと理屈っぽい、抽象的思考が得意そうな雰囲気を感じていたのだけど、叙情的な歌がたくさんある。好きな歌をいくつか並べてみよう。
知らぬ間に解けてしまつた靴紐がぴちぴち跳ねて夏がはじまる
湿り気のある影だつたいつまでも公園の隅に残つてゐるのは
やや距離をおいて笑えば「君」といふ二人称から青葉のかをり
地に落ちる水の未来をおもふとき涙はふいに逆流をする
靴紐を結ぶべく身を屈めれば全ての場所がスタートライン
遊歩道に終はりの見えしとき君の口笛はふいに転調をせり
雨を想ふ。大好きだつた人たちがみな消えてゆく夏になるまで
鉄道で自殺するにも改札を通る切符の代金は要る
やわらかなてのひらがすくふ水があるその水がぼくに注ぎ込まれる
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今の所、僕は歌を別個に読んでいくばかりで、複数の歌がまとめられててもそれをまとまりとして読むということができない。でも、こうして好きな歌を並べてみると、この中では一番そっけない「鉄道で…」の歌が一番印象深いのが面白い。歌を複数並べてみることの意外な効果ってこういうのかしらん。短歌は読んでいる絶対数が足りないと思うので、もう少し、折々に読んでみたい。
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