大福帳、一学期の使い方まとめと感想

過去にこのエントリで触れた向後千春さんの大福帳。高校の授業で使い始めてほぼ一学期が終了するので、3ヶ月使ってみての感想をまとめておこうと思う。

 

大福帳、通常授業でも使用中

2015.05.11

作文の授業に大活躍、大福帳!

2015.02.13
 ▷ すべての授業で大福帳を使おう (KogoLab)

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もともとこの大福帳、昨年度の中1の作文の授業で使いはじめたものだ。一クラス40人の生徒相手にカンファランスをするのは到底無理なので、

(1)大福帳にちょっとした助言を書いて簡易カンファランスをする
(2)進捗状況を見て次の授業でカンファランスすべき生徒をチェックする


ためのツールとして使い始めた。

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それがとても便利だったので、今学期は高校の授業で導入をはじめたわけ。僕は中学生も受け持っているけど、中学ではなくて高校でやることにしたのは、

(1)負担を考えると両方の学年でやるのは無理。
(2)どちらかというと高校生のほうが一方通行になりやすい要素が大きい


という理由から。 そして、最初に掲げた写真の通り、

(1)顔写真を貼る欄を作った
(2)記入欄を2行に狭くして、表面と裏面あわせてで一学期分の回数記入できるようにした
(3)「読書中の本」を書く欄を作った
(4)こっちから返信するのは、全4クラス中の2クラスまで(負担軽減のため)。
(5)2週間に一度、大福帳のコメント抜粋と読書中の本の情報をまとめた「大福帳通信」を配布した 

あたりを改善点にした。では、どうだったのかを振り返ろう。

まずはプラス面から。顔写真や2行の記入欄など、レイアウトについては今回の案で充分に機能していたと思う。僕は人の名前を覚えるのは苦手だから顔写真とコメントがあることでエピソード的にその生徒のことを覚えられたし、2行というのも授業の終わりの3分程度で書ける分量だったと思う。たくさん書くほうが内容は深まるのだけど、仕方ない。

また、ここに授業の感想やわからない点を書いてくれる生徒がいるおかげで、なんとなく教室全体の理解度がつかめたことも大きい。個別に一言そえることもあるし、「これは全体で触れた方がいいな」と思って補足したこともある。生徒が大福帳に授業に関連する練習問題を作問してきて、それに次の時間の授業で僕が答えるということもあって、なかなか楽しかった。こういうインタラクティブな雰囲気を作れるのは、大福帳のいいところだと思う。

一方のマイナス面。第一にとにかく時間がかかる。ざっと、これまでの予習時間に加えて平日一日1時間プラスされる感じ(「大福帳通信」を書く時間を含める)。最初はこれくらいなんとかなりそうだなと思っていたけど、忙しい6月になるとけっこうしんどい。福井の渡邊さんみたいに「教師からのコメントはなし」って割り切る方法もあるかなと思う。

それと、実は毎回の授業で読書中の本を書き、またそれを2週間に一度共有することで、もう少し読書する生徒が増えるかなと思っていたけど、全然そんなことなかった。これはちょっと残念な結果。読書に関しては、やっぱりリーディング・ワークショップが一番かな。ただ普通の国語の授業でこれをやるのはけっこう勇気がいるんだ…。

また、基本的に書く内容は自由としたので、当然授業に関係のないことを書いてくる生徒や、わりといい加減な内容のものもあった。僕は「コミュニケーションツール」と割り切っていたのでそれでいいんだけど、もし本格的な振り返りの方法にしたいのなら、別に働きかけが必要かもしれない。

そんな感じだろうか。一学期やってみると、「けっこう大変だなあ」(→しんどい)という気持ちと、「これいいから中学生の授業でもやりたいなあ」(→さらに首を絞める)という気持ちが相半ばする。効果も、大変さも感じるだけに、迷うところですね…。やっぱり現状維持あたりがいいのかも。 

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