宣伝です! 10/16(木)新刊『中高生のための表現読本 語感を磨くレトリック選』が出ます!表紙のデザインを見ていただいてもわかるように、ご好評いただいている『中高生のための文章読本』の「きょうだい本」ですが、「続編」ではありません。このエントリでは、この新刊について紹介させてください。そして、気になったら手にとっていただけるとうれしいです。
レトリックに注目!『中高生のための表現読本』はどんな本?
『中高生のための表現読本 語感を磨くレトリック選』は、エッセイ、物語、詩、評論、説明文、手紙、レシピなど、多くのジャンルにまたがるアンソロジー(文章選)です。さまざまなジャンルをつなぐキーワードは「レトリック」。本書ではこの言葉を通常よりも広い意味で使っていますが、レトリックの視点からいろいろな文章を読み、おもしろがったり、首をかしげたりしながら、言葉のもつふしぎな力に出会っていこうよ、という本。詳しくはAmazonのサンプル画像の「はじめに」をぜひお読みください。
『文章読本』の続編なの?
「続編」よりは「きょうだい本」(姉妹編)という方が適当です。『文章読本』は、中3までの教科書の説明文と高校の教科書の評論のギャップが大きいことへの問題意識があって、「説明文と評論をつなぐ」のがコンセプト。それに対してこちらは「論理と文学をつなぐ」「読むことと書くことをつなぐ」のがコンセプトなので、狙っているものが違います。決してわかりやすいものだけでなく「わけがわからない」系のものも入れているので、対象年齢的にも、『文章読本』を読み終えたあとあたりが適当かも。
どんな作品が載ってるの?
物語やエッセイ、詩、評論もふくめて幅広く集めました。なかには30年以上前の小学校国語教科書の説明文(→サンプルとしてこちら(1)(2)で読めます)、クラシック音楽鑑賞事典の楽曲解説、レシピ、手紙もあります。あと、章扉にはひっそりと俳句・短歌も掲載と、ほぼオールジャンル。書き手も、近代文学の文豪から、現役で活躍中のエッセイスト・詩人・哲学者、そしていわゆるプロの書き手ではない富山県警本部長(当時)の方まで、相当に幅広いアンソロジーです。
激論の末に選出された作品たちは、教科書では載せられないものも含めて相当に「濃い」作品たち。読んで笑えるもの、描写にはっとするもの、かっこいい名文、静かな感動に胸を打つものもあるでしょうが、一読ではなんのことかさっぱり、というものもあるでしょう。それでいいんです。時々、僕たち編者もそうでした。具体的な収録作品名と書き手については、Amazonから「目次(1)(2)」の画像をご覧ください。国語の先生でも「全部知ってる」ってことはないと思いますよ。
主に学校関係者の方へ…詳しい情報を。
ここからは、主に学校関係者の方向けの、副読本としての採用を意識した説明がもう少し続きます。
この本を編集したのは…
この本の編者は、開成中・高等学校国語科の石丸恵彦さん、筑波大附属駒場中・高等学校国語科の森大徳さん、軽井沢風越学園のあすこま(澤田英輔)、そして詩人・小説家・エッセイストであり国語教室ことぱ舎代表の向坂くじらさんです。本書は、この4名の2年以上にわたるプロジェクトでした。超進学校に勤務するお二人の実力はもちろんですが、やはり、向坂さんの存在はものすごく大きかった。なにしろ4名いるので全員の評価が一致しない場合もあって、紆余曲折も大変さもあったのだけど、とにかく向坂さんの独自の視点には個人的にも学ぶところが大きかった。自分ももっと多くの作品を良く読めるようになりたい、と強く感じる編集過程でした。こうしたメンバーのおかげで、エッジの効いたアンソロジーにできました。また、向坂さんの終章のエッセイもしみじみ感動的で、これを読むだけでも買う価値はありますよ。
「文学」と「論理」をつなぐ、「読むこと」と「書くこと」をつなぐ
高校の学習指導要領では、「文学国語」と「論理国語」が分離しましたね。この企画の出発点には、僕たち編者のそこへの問題意識「でも、文学と論理って、分けられないでしょう?」という提案があります。実際にどちらかしか選択でできなくなって、たとえば「本当はこうじゃないんだけど…」「受験を視野に論理国語を選択したけど、文学にも触れてほしいなあ…」などと思っている高校の先生方、ぜひ、この本を手に取ってみてください。
もう一つの挑戦が、「読むこと」と「書くこと」をつなぐこと。僕は「作家の時間」「読書家の時間」の実践を通して、両者の強いつながりを感じている一人です。本書は基本的には「読み物」ですが、「レトリックの道標」や「手引き」には、書くことを誘うもの、書くきっかけになるものがたくさんあります。そしてなにより、読むことと書くことのつながりについて書いた巻頭の安房直子「言葉と私」、終章の向坂くじら「『あとで書こう』と思うとき」の2つのエッセイが響き合って、読み手を強く惹きつけるはず。そんなふうに、本書全体で、読み手を読むことを書くことの往還に誘っています。
「手引き」「脚問」と「解説」について
本書は、基本的には「読み物」です。しかし、学校で教材として使いたい先生方のことを考えて、基本的な理解を確認する「脚問」(→サンプルはこちら)、表現に着目して書くことにもつなげることを意識した「手引き」(→サンプルはこちら)をつけました。各章の最後には、同じ章の作品群をつなげる「レトリックへの道標」や、巻末近くにはレトリック的な視点や技法の解説(→サンプルはこちら)も。いずれも、必要に応じてお使いください。脚問には、あまり問題集っぽくならないよう、前著『文章読本』の編者・仲島ひとみさん(武蔵野大学)がかわいいイラストを添えてくれています。
税込990円。『文章読本』とあわせてご購入ください!
いまやラーメン一杯が1000円を超えることも珍しくないこのご時世で、価格はなんと990円。前著『文章読本』とあわせても2000円でお釣りがくる破格の安さです。まだの方はぜひ『文章読本』とセットでご購入ください。学校関係者(特に高校の国語科教員)の方は、副読本としての採用もご検討いただけると嬉しいです。
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