「最近の若者は本を読まない」論についてのこちらの2つのツイートが当社比でかなりの数(それぞれ4000以上と2500RT以上)リツイートされている。
「最近の若者は本を読まない」とお嘆きの方への基礎資料。今の小中学生は30年前よりずっと本を読んでいて、高校生も同じくらい読んでる。そして1ヶ月間に本を読まなかった生徒数は減っている。→ 第60回読書調査 http://t.co/61ETUf9hTX
まあこういうデータを出すと「本を多く読むと言ってもどうせラノベでしょ」と言ってくる御仁がいるのだが、だったら最初から「最近の若者は俺好みの本を読まない」と言うべき。
まあ2つめのツイートを読まずに「どうせラノベでしょ」という@ツイートがたくさん返ってきたのは織り込み済み…。
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もちろん、実際のところはこの第60回読書調査だけでは何とも言えないと思う。ただ、少なくとも「減っていない、それどころか増えている」可能性を指摘する一つの根拠にはなるわけで、こういう根拠を持ち出さないで自分の思い込みだけで「最近の若者は本を読まない」と主張するよりは100倍まし。
▷ 第60回読書調査 (全国学校図書館協議会)
で、特に小中学校で読書量が増えている理由としては、小学校での「図書」の時間や、中学校でも一部で「朝の読書」が実施されていることが大きいのではないかな。「なーんだ、学校でやってるだけか」とか思わないでね、それって「教育が機能している」ということなんだから。
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また、「増えているのはラノベを読んでいるからでしょ」というありがちな意見に対しては、「だからなに?」としか言いようがない部分がある。
そもそも、ラノベの定義があいまいなことは有名。レーベルなのか、カバーやイラストの絵柄なのか、キャラクター小説なのか、難易度なのか…。日本の古典文学にもライトノベルと共通する要素はあるし、僕が中学時代に好きだった田中芳樹『銀河英雄伝説』も今ではライトノベルのレーベルからも出ていて、それを根拠にライトノベルに分類する人も(少数派だけど)いる。だとしたら僕も中学時代にライトノベルを愛読していたわけですな。
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まあ、僕はライトノベル読みではないので、ライトノベル嫌いの人に向かってライトノベルを擁護するつもりはない。しかし「最近の若者は本を読まない!」と最初に量の問題を指摘したくせに、「このデータだと30年前より読んでるよ」と言われると「どうせライトノベルでしょ」という、量から質に話題をずらす論法には大いに疑問を感じるので、だったら最初から「最近の若者は俺好みの本を読まない」と言っておけ、ということ。もちろんそう言う人は、その「自分好み」の本を若い頃から今に至るまで日々読んでるんでしょうけどね?