[読書] 2018年4月に読んだ本。算数、古文、詩の読み方。

月末恒例の読書記事です。今月読んだ冊の本から、面白かった本を紹介します。今月は「硬めの評論を読もう」と思ってたのだけど、その予定は達成できず。その主な原因は、先月に読んだこの本でした…。

[読書] 2018年3月に読んだ本。ベストは、数学に改めて「はじめまして」する一冊。

2018.03.31

目次

息子との算数遊びに関連する本たち

本当は中1娘にいいかなと思った吉田武「はじめまして数学」。予想に反して、戦国男子の小4息子がはまりまして、今月は親子で「算数遊び」をたくさんしていました。 111×111=? 11111×11111=? などの計算をしたり、パスカルの三角形を描いてみたり、「あなたの誕生日を当てる数式」を(本に載っている例を真似して)自作したり。いきおい、4月の読書もそれに関連する本が多くなった。

ベストセラーの「数の悪魔」は、ばっちり息子もハマってた。実は僕は「初めまして数学」の方が好きなんだけど、年齢が違うと好きなものも違うのかな。

「数の悪魔」にくわえて、色々な計算遊びの参考になったのはこちらの本。

数学に関連のあるお話の本はこちら。「のうなし」レオナルドが自然の中にある数を見つける絵本「フィボナッチ」も、科学ミステリーのような「素数ゼミの謎」も楽しかった。素数ゼミの本も、イラストでの説明がふんだんな構成で、小学生にはありがたい。

4月末の一週間は、次の本をもとにして、「自然数は、連続する自然数の和で表せるか?」という証明に親子でチャレンジ。

結果、「奇数は連続する2つの自然数の和で表せるけど、偶数のうち、2の累乗の数は連続する自然数の和では表せない」という予想を立てたところまではよかったけど、その先はまだ息子の手持ちの武器では手に負えなかった。結局、「素因数分解」「文字式で表すこと」「背理法」を教えつつ、僕が証明してみせたのだけど、全部繋がって理解した時はすごく感動してた。いつか、こういう快感を自力で得てほしいな。

今さら知りました、枕草子の魅力

そんな感じで算数関係の読書が多かった今月、それ以外でベストの一冊をあげると、山本淳子「枕草子のたくらみ」。これ、抜群に面白かった!清少納言個人の機知の産物と思われがちな枕草子を、中宮定子をめぐる権力闘争の歴史の中において解釈し直す試み。読み終えたら枕草子が読みたくなること間違いなし。いやー、恥ずかしいくらい古典の教養ないんだけど、この本は面白かったな。古文を教える国語の先生はけっこう読んでる本なんだろうか。まだの方には強力にお勧めします。単純に面白いので!

このレベルで読めるようになりたい…「名詩の美学」と「名詩の世界」

また、今は「アトウェルのようにミニレッスンで詩を使えないか」という観点から、詩を読む勉強をし直している。まず、西郷竹彦「名詩の世界」を再読しようとしたら、同じ著者の「増補 名詩の美学」という本もあった。

読んでみたら、こちらもとても勉強になった。「名詩の世界」にも出てくる詩のうち、近現代の有名な詩に絞ったダイジェスト版かな。特に、佐藤春夫「海の若者」や村野四郎「鹿」などの読解は本当に詳細で、ここまで丁寧に読めるのかと感嘆する。扱っている詩も分析内容も「名詩の世界」とかなりかぶるけど、全7巻もある「世界」よりも、まずは「美学」がいいのかも。

4月最後の一週間は、息子の算数に付き合いつつ、「名詩の世界」シリーズ全7巻のうち3巻までを再読。「名詩の世界」は技法ごとに説明されているので、同じ詩でも、視点を変えてなんども出てくる。しつこい反面、知識の定着という意味ではプラスだろう。今回読んだ範囲では、3巻の比喩の捉え方(比喩は説明の手段ではなくて、虚構を作り出す手段)がやはり大事だなあと思った。5月までに全7巻を読み直そう。

一斉授業形式であれ、ライティング/リーディング・ワークショップであれ、教師が「読み書きの技術」を自分の頭の中に持っていて、それを目の前の生徒にベストのタイミングで譲り渡すことが大事。「名詩の世界」は、「読み書きの技術の観点を増やす」にはうってつけのシリーズだと思う。小学校〜中学校で扱うような子供向けの詩も多く収録されているので、未読の先生にはおすすめです!

おまけ:詩のブックリスト

詩のブックリストについては下記エントリも参考にどうぞ。

授業用に、個人の楽しみに。好きな詩に出会うためのブックリスト

2018.03.08

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