1対1の作文相談、上手な先生たちの指導のコツ

引き続き「頑張ってレポート書いてます」という話題で申し訳ないけど、昨日、大学の語学サポートINTOの1対1のカンファランス(作文の個別相談)に行ってきたら、やっぱり大変役に立った。そこから感じた、上手な個別相談対応の共通点について書いてみる。

目次

とても便利なINTOのライティング個別サポート

エクセター大学にある語学サポート機関のINTO(大学とは別組織)と、そこでの個別チュートリアルが大変便利だということについては、以前にも下記エントリで書いた。

個別対応の強み、ライティング・チュートリアル

2016.03.07

今回持参したのは研究計画書。最近になって研究計画書を書くときのポイントが、

  1. 序論と先行研究レビューの2つのセクションで、研究における自分の問いを正当化すること
  2. 自分の研究の問い・背景となる理論・哲学的前提・研究デザイン・データを集める手段が一貫していること

だということがつかめてきたので、今日はその1つめのポイントのチェックをお願いした。

やっぱり役にたつ!作文指導の個別相談

そしたらこの個別相談、毎度のことながら役にたつ。もちろん自分では、原稿を一度書いた段階で、「よし、一本道の議論ができた、いけるはず」とちょっとは思っているのだ。ところが、このチュートリアルを受けると、「なるほど、こういう書き方の方が順々に論点が絞られていくな」とか、「これをトピックセンテンスにしてパラグラフの一番先頭に持ってきた方がわかりやすいのか」みたいな発見が、毎回ある。

見せる前には「この書き方でいける!」と思っていたものが、先生から別の組み立て方の提案をもらったり、あるいは先生と話しているうちに自分で勝手に新しいアイデアを思いついたりして、チュートリアル終了後には、「なんでこっちの書き方を最初に思いつかなかったんだろう」という気にすらなる。しかも、やる気も高まって、このまま頑張ればいいレポートが書ける気になってくる。本当に不思議。添削よりもよほど役にたつと思う。

指導がうまい先生たちの共通点

ところでこっちも職業柄「上手な先生たちがどういう風にカンファランスしているのか」には興味があるので、ちょっと観察してみた。今のところ僕が「この先生にあたったらラッキーだな」と思う先生たちに比較的共通しているのは、

  1. まず音読していること
  2. 自分で文章の小見出しを考えて、余白に書いたり、声に出したりすること
  3. パラグラフごと、複数の文章のまとまりごとの接続を確認したり、説明させたりすること
  4. 順序の大胆な入れ替えの提案をためらわないこと
  5. 学生が無意識のうちに前提にしていることを確認すること
  6. 文法ミスの指摘は、最初に読むときにチェックだけして、一番最後に回すこと

ということである。音読や小見出しをつけるという地味な作業を通じてこちらのレポートを読解し、そこで抱いた違和感を解消するために、まずは文章全体の構成を大胆にあれこれ入れ替えてみる。特に、その際、僕が「書いてはいないけど前提にしていること」をあぶり出して、文章に加えるようにする。文法ミスの修正についてははいたずらに時間を使わないように最後にちょこっと。こんな感じだろうか。特に、「自分で書いていない(気づいていない)前提」をトピックセンテンスに持ってくると、文章が読みやすくなることが多くて、これはなるほどと勉強になった。

これは自分が個別対応をする時の参考になるし、もっと言えば、可能な部分は生徒にやってもらうとなお効果的だとも思う。

逆に、あまり嬉しくない個別指導は…

逆に、数は少ないのだけど、「うーん、今回はあんまりかな?」と思った先生は、

  1. 文法ミスの指摘から入って、そこでけっこうな時間を使ってしまう
  2. 自分の過去の経験談を多く語りたがる

という感じだった。ただ、僕は実際に英語の間違いが多いので、僕のレベルに合わせて必要なことをしてくれたのかもしれない。

この年齢になって、贅沢な経験かも?

先日書いた下記エントリでも先生の添削指導から学ぶことがあったけど、今回の個別相談でも参考になることは多かった。

人の振り見て我が振り直せ、添削指導にありがちな罠

2016.04.27

考えてみると、大人になって、しかも国語の教師をやっていると、なかなか面と向かって文章に意見を言ってくれる人は少なくなる。実はこれが、僕たち国語教師が自分の文章力を伸ばす阻害要因になっていると思う。だから、いまの年齢になって、しかも英語なので書くのが苦手な生徒の立場で先生の文章指導が経験ができるのは、かなり贅沢な経験かも。予約が多くてなかなか頻繁には使えない個別相談だけど、今後も活用しよう!

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2 件のコメント

  • 面談など対話がない小論文の添削を考えると、誤字や文法的な誤り、起承転結など文構成くらいですが、リピート添削などのサービスを考えた場合、そのあたりのフィードバックだけだとリピートしても結局、文書を整えるくらいかと否定的でした。ただ、もっと「なぜ」を掘り下げるようなフィードバックをした上で、再度提出してもらうのであれば、考えの深まりや視点のひろがりにもつながるようにも感じました。カンファレンス抜きの添削だけでできることというのも限界ありますが、書くことそのものが学びにもなると思いますので、ならば、テーマ変えた方がよいように思っていました。書いてもらうテーマは同じでよいものかという気にもなってきました。ブログを読んでアイデアが行きつ戻りつです(笑)

  • そうですね、僕だったら同じテーマで書き直してもらうかな、と思います。ただ、フィードバックの大きな目的には、書く手に「書き直したいと前向きに思ってもらうこと」があると思うのですが、添削だと(条件が整わないと)それはなかなか難しいですね。