なるほど納得、リフレクションの危険性とその対処法

イギリスに来て半年が過ぎ、今更ながらリフレクションの大切さを実感しつつある。そんな中、今は授業でリフレクション関連の基本文献を幾つか読んでおり、その中で

という文献のイントロダクションを読んだ。そこで触れられていた「リフレクションの危険性」という話が面白かったので、自分のまとめも兼ねて紹介しよう。

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リフレクションの危険とは


BulmanがBrookfield(1993)を引用しつつ指摘する「リフレクションの危険性」は、以下の4つである(pp10-)。

(1) Impostership
リフレクションをする時に、他人の前で偽りの自己を見せること。自分たちの実践には変化の余地があることに対して、常に開かれていることが大切。

(2) Cultural Suicide
自分が所属する集団の前提に対してもクリティカルに思考するようになるため、集団からトラブルメーカーや裏切り者扱いされること。

(3) Lost Innocence
経験を積めば積むほどに、自分の実践が本質的に不完全であることに気づいてしまい、純真さを失ってしまうこと

(4) Road Running
古いやり方がこれ以上意味をなさないと気付いたとしても、それに変わる新しいやり方が見つかっておらず、不確かさの中で途方にくれること

おお、どれもいかにもありそうな話だ。リフレクションをすればするほどこういうネガティブな方向に行ってしまう危険性というのは、確かにあるなあ…。

リフレクションにはコミュニティが必要


そして、それへの対処としてBrookfieldが強調しているのが、コミュニティの存在である。感情を共有して続いているピア・ラーニングのコミュニティ。それがあってこそ、僕たちは自分個人の不安が皆も共有しているものだと知ることができ、安心するのだという。

リフレクションには、安心してそれを共有できる信頼できる、同じ共同体の他者が必要。とても納得のできる話だった。

ちなみにこの本、読んだのはまだイントロダクションだけなのだけど、なんと日本語訳もあるらしい。全部読むのは日本語訳で…かな? とりあえず購入しておこう。

この記事の参考資料

Brookfield, S.D.(1993). On impostership, cultural suicide, and other dangers: how nurses learn critical thinking. Journal of continuing Education in Nursing,
24(5),197-205.

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