「本が主役」ではないゆったり空間? Biblioteket Kulturværftet(デンマーク図書館印象記2)

Biblioteket Kulturværftetは、コペンハーゲンから電車で30分ほど北上した街・Helsingør。世界遺産のクロンボー城のすぐそばに、5年前にオープンしたばかりの大きな図書館がある。公共図書館に「その地域の目玉・大規模図書館」と「普段使いの味方・地元図書館」があるとすると、明らかに前者のタイプの図書館だ。外観写真もこの立派さ。


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広い!雰囲気が良い! 驚きの児童書フロア 

中に入って驚いた。広い、そして雰囲気が良い! 入って1階は子供向けの本のコーナーなのだが、これが本当に素敵だった。海沿いの図書館ということで、船のモチーフがお出迎え。


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中に入っても広々とした空間にオブジェや椅子やおもちゃがたくさんあり、本はむしろそれらの合間にある印象さえ受ける。決して「本が主役」という感じがしないのだ。

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館内にはもちろんゲームもある(デンマークの図書館には子供への機会平等の観点からゲームがあることは、吉田さんの本でも言及されていた)。

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ここで司書さんにちょっと聞いてみたところ、やはりこの階は子供にとても人気があるらしい。僕の訪問した時間帯は平日午後ということもあってまばらだったが、土日はワークショップやイベントがたくさん行われるらしい。なるほど、それもあって空間が広いのかな。土日は1000人以上の訪問者数があるというから驚きだ。

こちらも広々、大人向けのフロア

二階と三階は、フィクション・ノンフィクションといった大人向けの本や、音楽や映画のCD、DVDなどのコーナーになる。そこでも、広々とした空間の使い方に目を奪われた。

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写真は人が写らない所を中心に撮っているだけで、館内にはそれなりの人数がいる。そして、ガラスで隔てられた個室を除けば、椅子はそれぞれ2つ以上あるので2人以上のおしゃべりができる。実際におしゃべりをしている人たちも多い。でも、空間がとても広いので、館内の雰囲気は全体としてとても落ち着いている。しかも、集中して本を読んだり考え事をしたい人には、個室を借りるか、下の写真にある階段状のリーディングゾーンを使う方法もあって、住み分けもされている(このゾーンは、土日にはイベントにも使われるとか。ちなみに上の写真右端にあるピアノももイベントで使われるらしい。)

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「大きいのに圧倒しない」雰囲気の良さ

バーミンガム図書館の感想で書いたけど、立派な図書館は、得てして僕には「お腹いっぱい」になりがち。でも、この図書館は違った。大きいのに圧倒しない。雰囲気が良くて、ついつい長居してしまう。

ヨーロッパ最大級! バーミンガム公共図書館を覗いてみた

2015.09.09
(引き合いに出してごめんよバーミンガム…)

この違いは何なのだろうなあ。自分の乏しい経験をもとに危険を承知で言うと、自分がこれまで訪問したイギリスの図書館は、デンマーク同様に日本より公民館的要素が強くありつつも、基本的には本を置くため、あるいは調べ物をするための「機能」優先の図書館の印象があった。でも、この図書館は公民館的要素も持ちつつも、居心地の良い空間を作る設計がまずあって、その中に本を溶け込ませている。図書館機能だけでなく、空間自体の魅力で人を呼んでいるような。

帰り際に見たロッカーまでおしゃれ

この空間を舞台にして、きっと多くのイベントが行われているのだろう。デンマーク語がわからないのでパンフレットなどが読めないのが残念。もう少し司書さんにあれこれ聞いてみるべきだったかも…。

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帰り際に見たロッカーまですっきりとお洒落なBiblioteket Kulturværftet。最後まで好感度高かった図書館なので、クロンボー城まで行かれる方がいたらぜひ立ち寄ってください。

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