湖水地方を歩く

好天に恵まれて、湖水地方を家族でお散歩した。ふだんはインドア派のあすこま一家も、外を歩け歩けの2日間。まずはビアトリクス・ポターが暮らしたヒル・トップへ。

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家の中や庭園ではピーター・ラビットの絵本の世界がいたるところに再現されていて、妻と子供たちは「ここがあひるのジマイマの!」「こねこのトムの!」となどと言いあいながら見ていた。作品のファンであれば、絵本をご持参の上どうぞ、きっと楽しいはず。日本語のガイドまであったので聞いてみたら「お客の2割は日本人」だそう。日本でのピーター・ラビット人気って高いんだな…。

そして僕自身はピーター・ラビットもちゃんと読んだことがなく、ましてポター自身のこともよく知らなかったのだけど、絵本作家というのはあくまで彼女の一側面らしい。学術的素養も豊かで、最初は慣れなかった湖水地方での農園経営も、周囲の農家の助けを得ながら学び、農家や畜産家としても優秀な人になっていったらしい。情熱があって優秀で合理性をたっとぶあたり、なんとなく同じイギリス女性のナイチンゲールとかぶるイメージ?

イギリスを代表する詩人ワーズワースが約10年間を過ごし、コールリッジら詩友と交流したダヴ・コテージ。そして彼の終の棲家となったライダル・マウント。このどちらの家も見てきた。DVD『英詩紀行』で見てから行きたかったところ。

英詩と風景を楽しめるDVD『英詩紀行』(全6巻)

2014.12.03

小さなところに大人数で暮らしていたダヴ・コテージと比べるとライダル・マウントはさすが桂冠詩人という大邸宅。ワーズワースも狭い家は嫌だったんだろうかねえ。

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彼は、ダヴ・コテージで代表作「水仙(The Daffodils)」の着想を得て下書きをし、推敲を経て出版したのはライダル・マウントに移ってからとか。詩の舞台になったアルス・ウォーターまでは足を伸ばせなかったけど、水仙の季節・3月にまた訪れてみるのもいいかな。ワーズワースが少年時代に通っていたホークスヘッドのグラマースクールには、彼が自分の名前を彫った落書きもあるそうで、それも見てみたい。


ダヴ・コテージとライダル・マウントまでの間は遊歩道を歩いた。遊歩道といっても日本ほど整備されていなくて、牧場や野原の中を歩く感じ。右手には湖を眺めながら、時々川のほとりに下りながら、羊や牛のそばに近寄りながら。

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とにかく気持ちのよい散歩の時間。もちろん日本にも豊かな自然や美しい景色はたくさんある。けれど、周囲の家なども含めて調和するようにその景観をきちんと保存するという点で、湖水地方のほうが数段上だ。なるほど、日本人にも人気が高い理由がわかった気がする。 イギリスでは珍しい好天に恵まれて、最高の散歩デーになった2日間だった。

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