[ITM]小論文の書き方:情報の収集から分類まで

In the Middle読書日記。一度軽く下のエントリで触れただけなのだけど、アトウェルの授業で扱うジャンルの一つがEssayである。ここでは一応「小論文」と訳しておこう。日本の大学入試の小論文とは違うのだけど、日本語のエッセイとは全く異なるし、短めの、論理的に何かを主張する文章という意味で。



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上で書いたとおり、授業の基本的な枠組みは他のジャンルと変わらない。まず小論文の定義をする。そしてアトウェルが新聞などから集めた小論文を読み、グループで「良い小論文の評価基準」リストを作成する。こうやって、まずは「良い作品を読んで評価基準を作る」ところから書くことがはじまる。

それから書くネタを探す段階だ。ここでは自宅で少なくとも8つの「ひっかかること」を考えてくるのを宿題とし、グループになってそれを披露し合い、自分の関心に応じて1〜10点で評価し、それからトピックを決める。さらにそのトピックについて6〜8人と質問しあって、問題を練っていくという流れだ。

そのようなトピック決めの作業と同時に、アトウェルが自分の場合を例にして小論文の書き方のプロセスを示す。日本語でもよく見る「論文の書き方」系の本と異なって、「書き出しで遊ぶ(Play with leads)」や「結論を色々試してみる(Experiment with conclusions)」があるのがアトウェルらしい。 ミニレッスンでも、書き出しの7つのパターンや避けるべき書き出しを教え、書き出しのチェックリストまで与えたり(pp514-517)、書き終わりの例を示したり(p520)と、相変わらず丁寧だ。

 

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それらのプロセスの中で、このジャンル特有のレッスンが「情報の集め方」「整理の仕方」である。アトウェルがこういう領域まで手を出すのはちょっと意外な気もしたけど、考えてみたら彼女の師ドナルド・マレーはジャーナリストなので、ちっとも不思議ではない。

ここでは、「書くという営みは、生きた材料を集めるところからはじまる」というマレーの言葉を引用しつつ、書く目的に応じて、どのような情報を集めなくてはいけないかがリスト化され(p513)、それらの情報を構成して小論文のプランを練る段階についても、アトウェル自身のものをふくめた事例が紹介されている(p518)。情報を3つのカラムに分類していく方法、付箋のようなカードをつかって色々組み合わせてみる方法、マーカーを使う方法、そしてアトウェルがやるWriting-off-the-Page(作家ノート)を使う方法。それぞれはそんな珍しいものではないけれど、シンプルでかえって良いのかもしれない。

また、変わり種?は、インターネットで検索する時の検索語の入れ方まで指導していることだ(p514)。僕は「彼女はICTは苦手」というイメージを持っていたので、これにはちょっと驚いてしまった。

彼女の授業はあくまで「ライティング・ワークショップ」であって、調査法の授業ではないのだけど、この小論文といい、Advocacy Journalismやプロフィールの授業といい、調査の仕方もしっかり教えている。アトウェルの実践を読むと、「書くこと」という営みがいかに幅広いかを実感せざるをえない。

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なお、こうして完成させた小論文は、冊子にまとめてリーディング・ワークショップの時間にチャイやホットチョコを飲みながら回覧し、お互いにコメントを寄せ合う。インターネットのサイトに載せたり、新聞に投稿したりする生徒もいる。こうやって出版の機会をきちんと設定しているのも、他のジャンルと同様。やっぱり、こういう発表の場は大事だよなあと思う。

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