記事紹介:幼児への早期教育はかえって有害?

面白い記事を見つけた。早期教育は効果がないばかりかかえって有害ですよ、という調査結果だ。

 ▷ Let the Kids Learn Through Play 

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この場合の「早期教育」は、国語や算数のような学校で習う授業内容を、就学時年齢よりも早い段階で教えることらしい。「早く学習し始めればそれだけたくさんのことを学べる」という思い込みに対して、それを裏切る結果が次々と出ているらしい。

まずこの記事がやり玉にあげているのは「No Child Left Behind」プログラムやCommon Core State Standards(各州共通の基礎学力スタンダード)に代表されるアメリカの近年の教育政策。この結果、就学前から12年生(高校3年生)まで多くの子どもがより早い時期から、教師中心的な授業とテストを経験することになったのだけど、記事では就学年齢が7歳のフィンランドやエストニアと比較して、その後のアメリカの学力が全然高くないことを指摘している。

また、早期から教育された子どもとそうでない子どもを比較するいくつかの研究結果を引用しているのも面白い。

例えば、ドイツのAlanus UniversityのSebastian P. Suggateによる2009年の調査結果。50カ国以上の40万人の15歳の生徒を対象にした調査で、早期からの学校教育に特に有利な点がないことを主張した。彼は2012年にも、83名の生徒を数年にわたって追跡調査した結果を発表していて、そこでは5歳から学習をはじめた子どもはそれより遅い子どもに比べて読解力が低いと結論づけている。

また、University of North FloridaのRebecca A. Marconは343人の児童を対象に、数年間にわたる調査を行っている。それによると、早い時期に教師中心的な授業を受けてきた児童は、同じ時期に遊びを通して色々学んだ児童に比べて、4年生の終わり頃までに低い成績になるのだという。

どちらの研究でも、総じて、早期教育で得られた学力の優位は早期に消えてしまい、かえって学力が劣ってしまう傾向にあることが指摘されている。

「先取り」は親や教師にとって麻薬みたいなものだ。周囲の子に比べて「遅れないだろうか?」という不安、「優位に立ちたい」という自尊心。いずれの理由からも、親や教師はつい先取り学習の誘惑にからめられそうになる。そのことは、自分が教師や親になってよくわかった。けれど、やはりその時期にはその時期にあった活動というものがあるのだろう。もとの研究結果を読んだわけじゃないので話半分だけど、面白い話として覚えておきたい。

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