北欧のICT教育事情をうかがう

今日はだいたい隔月で行っている他校の国語の先生との定例勉強会の日。新年は2日間行うのが通例で、今日はその1日め。

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普段はお互いの授業報告や授業案の持ち寄りが中心の会なのだけど、今日は午前中に外部のゲスト講師をお招きして北欧の教育事情とICTの話をうかがった。主なトピックは、

・日本の教育の情報化は「笛吹けど踊らず」、過去20年停滞して、2周遅れ。それはなぜ?
・日本で蔓延するICT脅威論 vs 魔法的効果待望論。
・ICTで果たして誰の夢をかなえたいのか? 教員? 保護者? 教委? 生徒?
・北欧の事例(デンマーク、スウェーデンの視察結果報告)
・北欧の事例からどんなフィードバックを得ることができるか?
 

改めて思うのは、ICTの問題は教育観や学校観の問題なのだ、ということだ。従来型の教育観や一斉授業的な授業観のままタブレットを活用しようとするから、ちぐはぐな「活用」になってしまう。

北欧、特にデンマークの事例は、授業のアイデア自体が特別にすごいとは思わない。でも、個人やグループ中心の学習がベースになってるから、授業の中でごく自然にPCやタブレットが使われるのだと思う。ただ、北欧の授業を日本的な授業を見慣れた目からすると、個人作業が中心の北欧の授業は教師主導のメリハリがなく「だらだらはじまってだらだら終わる」ように見えるそう。面白い。

ICT活用に際しては、時間割が可変的に組めるというのも大きい。日本の中高の場合、時間割は比較的厳格にきまっている。そして、ICT活用のような生徒の活動を授業に組み込むと、通常の50分授業では正直短すぎるのだ。

次に、僕の関心領域である作文とICTが深く関わっている、という話。例えば、多くの学校がgoogle apps for educationを導入して生徒にかなりたくさん書かせている。スウェーデンのある学校では、生徒の書いた文章を電子出版してアーカイブする電子図書館まで保有している。書いたものはそのまま外部に公開し、それが学校の広報にもなれば、生徒に「本物」の場を提供することにもなる。こういうの、いいなあ。

こういう時の「書く」は基本的に全てキーボード入力。書くことについて早々にキーボードに移行した北欧の先生では、日本の多くの国語教師が「手書き」にこだわるように見えるのがとても不思議だそうだ。とはいえ、手書きを全くしないわけでもなく、手書きかキーボードかを含めて生徒に任せているみたい。なんとある小学校の低学年では、国語の授業中にビーズ細工をして、手書きに必要な細かい手の動きに生徒を慣れさせる、ということもしているそう。国語の授業中にビーズ細工とは!

この他にも盛りだくさんの充実したレクチャーの時間だった。教育観を変えることはすぐには出来ないし、また、東アジア文化圏と北欧では背景となる文化自体が異なるので全て変わるということもないだろうけど、google apps for educationの活用や電子出版の話は、比較的自分の作文教育でも活用しやすい部分の話かな。しっかりと今後の視野に入れていきたい。

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