効果的な作文教育手法はこれだ!? (1)上位編

Writing Nextという研究報告書がある。作文教育研究者のSteve GrahamとDolores Perinが、これまでの作文研究の論文をメタ分析して効果的な作文教育の手法をまとめたものだ。これが非常に興味深いので3回に分けて紹介したい。

 ▷ Writing Next
WritingNext_sm

この研究は、 中等教育での作文教育研究の論文のうち、合計176の論文を対象にメタ分析を行って、そこから作文教育の各手法の効果量(effect size)を測定したもの。この研究においては、効果量の大きな手法ほどポジティブな効果があるやり方だということになる。

なお、当然ながらここでどうメタ分析を行ってどう効果量を測定したかという点が問題になるのだが、残念ながら僕にはそこの妥当性を吟味する能力がない(^_^;) 上のPDFの付録にはメタ分析の手法が詳細に書かれているので、専門の方&ご興味のある方は、そちらを熟読して下さい。

メタ分析については、こんなサイトもありました。

 ▷ メタ・アナリシス

僕はこのへんの話は全くわかってないので(汗)、これから紹介する内容は間違ってる可能性あり。くれぐれも、元のレポートを読んで、自己責任でよろしう。ということで、多少無責任ながら、この研究レポートの作文教育手法を、効果量の大きな順に紹介してみよう。

(1)「書くための戦略を教える Writing Strategies」(効果量=0.82)

効果量が最も大きなのは「文章を書く戦略を教える」指導法。プランニングや推敲の戦略を教師が教え、モデルを示し、生徒が自分で使えるようになるまでサポートしていくというやり方で、特に書くのが苦手な書き手には効果大とされる。日本では「戦略を教える」という指導法はまだまだ一般的ではないが、読み書きの戦略を直接教えてしまうというやり方、特に1990年代以降のアメリカは大好きな印象。

(2)「要約する Summarization」(効果量=0.82)

戦略を教えるのと同様に効果量が大きいのが、要約を教えること。直接方法を教えるやり方から直観的に要約させるものまで幅広いが、こうした経験が書くことに効果的だとされている。(これは「要約を書くこと」が作文教育の課題になっているからでもあるのだろう)

(3)「協同で書く Collaborative Writing」(効果量=0.75)

たとえば作文のうまい生徒と苦手な生徒を組ませるなど、ピア活動を導入すること。これは、(しばしば指摘されていることだが)得意苦手関係なく、すべての層の生徒に高い効果をもたらす。

(4)「目的を設定する Specific Product Goals」(効果量=0.70)
誰かを説得するなど、書く目的を具体的に設定すること。特に、書くのが苦手な生徒への効果量が大きいという研究が多い。

だいたい効果量=0.8というのは「非常にポジティブな効果がある」数値らしいので、 上記4つの作文教育手法は、わりと文句なくおすすめのレベルなのではないかと思う。

ここまででも長くなった。続きはこちらで。 

 

効果的な作文教育手法はこれだ!? (2)中〜下位編

2015.01.05

この記事のシェアはこちらからどうぞ!