MOOCを経験してわかったこと

海外の大学を中心にオンラインで受講できる無料講座(MOOC)が増えてきている。日本でも、gaccoというプラットフォームができて、東大が反転授業のコースを開設したりで、話題になった。

 ▷  gacco The Japan MOOC

 流行もの好きな僕もいくつか受講してみたので、その感想をまとめてみる。ちなみに、これまで受けた(登録した)のはgaccoのほか、CourseraやFuture Learnといった英語のプラットフォームで、これまで合計6講座を登録している。

まずは面白かったこと。もちろんコース次第だけど、どれも予想以上に工夫がこらしてあった。まずビデオを見て、次にそれについて一問一答式のクイズを解いて、それからレポートを書いてBBSでコメントして…のような流れのところが多く、きちんと習得した知識を使って定着をはかるデザインになっていた。また、ビデオ教材(同じ大学の先生へのインタビューなどが多い)も手抜きという感じはせず、英語/日本語どちらの講座も字幕がついていて助かった。自分でビデオ講座をもし作るとしたら…という視点で見てみると、なかなか勉強になる。また、特に海外の大学の講座は、留学生獲得の手段も兼ねているようで、随所に大学のアピールをしているものもあった。たしかに、こういう講座でその大学の名前を知ったり、好感度を高めたり、ということはありそうだ。

一方で、ウェブ講座だけではダメだなということも実感した。 ウェブ講座の長所はいつでも好きな時に勉強できることのはずだけど、逆にダウンロードしておけばあとでいつでもやれると思ってしまうので、つい忙しさに負けて続けられない事態が頻繁。僕も最後まですべての課題をこなしたのは3講座のみ。というわけでMOOCの修了率の低さの理由を身をもって実感した次第。一定時間教室に集まるっていう強制力って馬鹿にならないなあと思う。

また、ディスカッションやピア・フィードバックのような協同的な活動は、オンラインだと全くダメ。そもそも英語で知らない人とディスカッションする気になれない。また、アカデミック・ライティングやリサーチスキルを学ぶ講座でピアでお互いの文章にコメントする機会があったんだけど、組む相手がランダムに割り振られるので、相手次第の面が大きすぎる。自分が頑張って書いた500wordsくらいの英文にたった一言”good work!”しか書かれてなかった時はさすがにあきれて、相手に「もっとディテールについてコメント書けや!」(関西弁使えないけど、気合い的にそんな感じ)と書いたけど返信がなく、馬鹿らしくなってそのコースをやめてしまった。こういうのはやっぱり、互いにある程度の信頼関係を作りつつ、フィードバッカーとしても成長する機会がないと難しい。それをオンラインでやるのは、現状はかなり難しそうだ。

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オンラインでもできること、対面でないとできないこと。その違いを体験する意味でも、学校の先生がMOOCを体験するのは良いことと思う。そういう違いをきちんとふまえて授業設計する時代も、そう遠くない未来に実現するだろうから。 

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