短歌の穴埋めでプチ創作

昨日の短歌創作ワークショップで面白かった作業を一つ。それは、既成の短歌の「穴埋め」をするというワーク。実際の短歌の一部を空欄にして、そこに自分なりに考えてぴったりくる表現を入れましょうというもの。

写真

 形容詞過去教えむとルーシーに【        】と二度言はせたり

【         】など面白きもののある世を父は去りたり

サンダルの青踏みしめて立つわたし【      】を生んだように涼しい

みなさんなら空欄に何を入れますか。あれこれ迷った末に、僕はこんな感じで入れました。(実際にはいくつか候補を考えたのだけど、褒められたり自分の感覚的に一番ぴったりきたものひとつを紹介)。

 形容詞過去教えむとルーシーに【 美しかった 】と二度言はせたり

【 ミニサイズの大盛り牛丼 】など面白きもののある世を父は去りたり

サンダルの青踏みしめて立つわたし【  鏡  】を生んだように涼しい
 

一カ所が空欄になっているので、他の箇所の表現を手がかりにイメージをふくらませて、自分の感覚でぴったりくるものを探す。だから、自然と穴になったところ以外の表現を読み込んでしまう。単純だけど、仕掛けとしてうまくできているなあと思った。いきなり31文字を創作するのはハードルが高すぎるけど、他の言葉を手がかりに、空欄の一カ所だけを書くことで自分の短歌をつくるプチ創作。あれこれ読み込む楽しさや創作の楽しさの手触りは、確かに残る。実際の正解はどうでもいいんだけど、ちょっとしたクイズ的な楽しみもある。学校の授業でも使えるかもしれない。

ちなみに、一応の「正解」はこんな感じ。特に「銀河」なんて思いつかないって…。予想の斜め上を行く歌人の想像力。

形容詞過去教えむとルーシーに「さびしかった」と二度言はせたり(大口玲子)

鯛焼きの縁のばりなど面白きもののある世を父は去りたり(髙野公彦)

サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を生んだように涼しい(大滝和子)
 

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